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女子バレー代表はなぜこの12人か。
世界一を狙うのに必要な4要素とは。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byAFLO
posted2016/06/29 17:30
佐藤あり紗と座安琴希の本職はリベロ。リオ五輪は2人の守備職人を入れてディフェンス力アップを狙う。
世界一を狙うには、4つの世界一が必要。
眞鍋監督は、「ベスト8くらいに入るには(得点力重視のメンバー構成でも)いいけれど、我々の目標は世界一ですから」と語る。
指揮官はロンドン五輪の前から、「日本が世界一になるためには、サーブ、サーブレシーブ、ディグ、ミスの少なさ、この4つで世界一になることが必要」と唱えてきた。銅メダルを獲得したロンドン五輪の頃のチームは、それに限りなく近かった。
眞鍋監督が言うように、4年前、アメリカ、ブラジルなど強豪国はレシーバーをメンバーに入れたが、日本は入れなかった。必要がなかったからだ。
守備範囲の広い世界屈指の守護神・佐野優子と、リベロに引けを取らないディグ力を持つセッター・竹下佳江がいて、パスヒッターの木村と新鍋理沙の2人は守備力も非常に高く、日本はロンドンのコートで脅威の粘りを発揮した。
当時はミドルブロッカーも含め、「後衛では全員がリベロだ」というのを合い言葉に、ディフェンスを強化していたのが印象に残っている。
木村、竹下、佐野、荒木という軸があったロンドン五輪。
理想を言えば、高さに劣る日本は全員がレシーバー並みの守備力を持っていなければならない。全員で拾い、なおかつ後衛も含めたスパイカー全員が攻撃に参加して、相手に的を絞らせないことが重要だ。
それが今回、攻撃の枠を1つ減らしてレシーバーを入れなければならなかったというのは、指揮官としても苦渋の決断だったのだろう。
前回のロンドン五輪は、2008年北京五輪から主力だったエース木村、セッター竹下、リベロ佐野、主将の荒木絵里香という4つの軸が健在だったため、4人を中心に年々チームの完成度を高め、'10年世界選手権3位、'11年ワールドカップ4位と実績と自信を積み上げながら五輪にたどり着くことができた。
しかしロンドン五輪後は竹下、佐野が引退し、荒木も一時は現役を離れたため、軸が木村1人となった。本来は固定したいセッターやリベロに様々な選手を起用し、「ハイブリッド6」という新しい戦術を試みるなど、試行錯誤の4年間だった。レシーバーを採用したのも今年の五輪最終予選から。毎年チームの様相は変わり、コンビネーションや守備の連携はまだ不完全だ。