JリーグPRESSBACK NUMBER
常勝鹿島を取り戻した強化部長の喝。
1stステージ優勝で感じた懐かしさ。
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/06/27 11:45
27分、柴崎岳が蹴ったCKに山本脩斗がヘディングで合わせ、先制点を決めた。練習の成果が出たセットプレーだった。
勝てば優勝のアビスパ戦、“嫌な予感”も。
最終節、勝てばステージ優勝決定。しかも相手は、最下位アビスパ福岡。優勝に向けて鹿島が優位なのは間違いない。だからこそ、プレッシャーのかかる中で確実に勝ち切ることができるのか、鹿島が本当に「優勝できるチーム」なのか、真の力が問われる試合になった。
案の定、序盤の鹿島の動きは硬かった。前線から積極的にプレッシャーをかけてくる福岡に主導権を握られると、開始5分に左サイドを金森健志に破られ、ウェリントンにシュートを許す。8分にもCKから古部健太に際どいヘディングシュートを放たれた。
明らかな福岡ペース。前節、川崎も福岡の先制攻撃に2失点を喫し、引き分けには持ち込んだものの、勝ち点3を取り逃している。少なからず、カシマスタジアムには“嫌な予感”が漂った。ところが、先制点を奪ったのは鹿島だった。そして、試合を動かしたのは、やはり「セットプレー」だった。
今季序盤の鹿島にはなかった武器。
27分、柴崎岳が蹴ったCKを、ファーサイドに走り込んだ山本脩斗が頭で叩き込んだ。
「今週はかなりセットプレーの練習を積んできたので、その成果が出て良かった。CKの時、福岡はゾーンで守るので、それを想定しながら練習していた」(山本)
このゴールには伏線があった。山本は17分にもCKで惜しい場面をつくっている。このときはニアに走り込み、ヘディングはヒットしなかったもののフリーになっていた。山本は、2つのCKでの修正について、こう語っている。
「CKをゾーンで守る福岡を攻略するポイントは、ニアだと思っていました。いかにニアのストーン(フリーマンとしてクロスを跳ね返す選手。この試合ではウェリントン)を越えるボールを蹴って、そこに合わせられるか。1本目は僕がストーンの前に走り込みましたけど、2本目はブエノに『ニアに行ってくれ』と伝えて。僕はファーに、(植田)直通の後ろに遅れて入りました」
試合の流れを掴めないときのために、また、流れを掴んでもなかなかゴールをこじ開けられないときのために、綿密にセットプレーの準備をし、試合の中で的確にそれを修正していく。今季序盤の鹿島にはなかった武器で、先制点をもぎ取った。