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常勝鹿島を取り戻した強化部長の喝。
1stステージ優勝で感じた懐かしさ。
posted2016/06/27 11:45
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
歓喜の瞬間から遡ること、約2カ月半前のお話。4月4日、鹿島アントラーズのクラブハウスで、たまたま鈴木満・常務取締役強化部長とすれ違った。アウェーでの川崎フロンターレ戦から2日後のことだったから、こう声をかけた。
一昨日、惜しかったですね。
スコアは1ー1のドローだったものの、内容面では川崎を圧倒し、決定機の数でも上回った。だから、きっと手応えを得ているはず。ポジティブな言葉が聞けるはず、と思っていた。ところが、鈴木強化部長の口調は厳しかった。
「全然ダメだね。本当に強いチーム、優勝できるチームっていうのは、一昨日のような展開になっても、セットプレーで点を取る。逆に内容が悪いときにも、セットプレーの1点で勝ちきれる。今年はセットプレーで点が取れていないから。まだまだ、だよ」
「常勝軍団・鹿島」らしくなかったシーズン中盤。
確かに、その後のファーストステージ中盤の戦いぶりは、「常勝軍団・鹿島」に似つかわしくなかった。4月10日の第6節で昨季王者サンフレッチェ広島を4-1で圧倒したかと思えば、4月24日の第8節柏レイソル戦では、主審の判定に抗議している間にカウンターを浴びて失点。“幼い”試合運びによる自滅で、早くも今季2敗目(●0-2)を喫した。
さらに、前回王者として臨んだナビスコカップ(現ルヴァンカップ)では、1勝しか挙げることができなかった。5月18日の第5節湘南戦に破れ、グループステージ敗退が決定。ジュビロ磐田との第6節、大宮アルディージャとの最終節では、クラブ史上初めてナビスコ杯で“消化試合”を戦う屈辱を味わった。
ナビスコ杯敗退決定後、初めての全体ミーティングで、鈴木強化部長のカミナリが落ちた。
「タイトルに対する自覚がなさすぎる。もっと一人ひとりが、サポーターの思いやチームへの責任を感じて戦わないとダメだ!」
この“喝”が選手たちの心に響いたかどうかは、精神論の部分だから、我々メディアにはわからない。ただ結果として、リーグ戦では5月14日の第12節横浜F・マリノス戦から5連勝を記録。特に5月29日の第14節ヴァンフォーレ甲府戦以降は3試合でわずか1ゴールしか許さず、第16節終了時点でついにトップの座に立った。