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オコエ瑠偉と松井秀喜の共通点とは。
高卒ルーキーなら“フルスイング”!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2016/06/24 07:00
日々、野球ノートをつけ、必死で一軍定着を目指すオコエは、高卒ルーキー1号目の本塁打を放った。
オコエも、同じ言葉をかけられた。
「とにかくフルスイングしろ!」
同じ言葉を、オコエを特集したあるテレビ番組で聞いた。
高卒ルーキーながら開幕一軍ベンチ入りを果たしたオコエが、二軍に落とされたのは4月14日のことだった。
そこまで主に代走と守備固めで11試合に出場。4月3日の西武戦での先発も含めて8回打席に立ったが、四球を1つ選んだだけで安打は1本もなかった。
そうしてファームにやってきたオコエに二軍の河野亮打撃コーチが言ったのが、この言葉だったのだという。
プロの変化球に、当てにいってはいけない。
期待されながら思うように打てず二軍に落とされた若い選手が、まず求めるものは結果である。ヒットを打って打率を残し、監督やコーチに認められなければならない。高卒ルーキーが一番手こずるのがプロの変化球で、その変化球を打つためにどうしたらいいかを考えると、ついついスイングが小さくなって、いわゆる合わせにいくバッティングになりがちである。
だが、一軍で本当に通用する打者になるためには、実はそれがマイナスなのだと河野打撃コーチは言うのだ。
「バッターというのは、合わせに行ったらボールを打つ感覚がつかめないんです。とにかくフルスイングする中で、ボールを捉える感覚を養っていくことが大切。そうしないと一軍で通用するバッターには絶対になれない。だから彼には、ずっとフルスイングをしろ! とそれだけを口を酸っぱく言い続けました」
松井さんも末次監督に言われて、とにかくファームでフルスイングに努めたという。
「やっぱりファームだと変化球の切れも一軍ほどはないし、甘い球もくる。フルスイングする中で結果も残せるんです。そうやって、バットがだんだん振れるようになっていった。だからファームに落ちたときの末次さんの言葉っていうのは、僕にとっては凄く大きかったんだと思います」
松井さんもフルスイング効果をこう語っていた。