熱血指揮官の「湘南、かく戦えり」BACK NUMBER
ついにホームで2連勝の湘南。
曹監督が選手に伝えた3つの「I」。
text by
曹貴裁Cho Kwi-Jae
photograph byShounan Bellmare
posted2016/06/22 12:00
ホーム2連勝でサポーターに笑顔で挨拶する選手たち。ステージ後半になってジリジリと良い結果が出始めている。
積み上げてきたセットプレーの戦術がついに……。
<試合結果>
6月18日(土)J1・1stステージ第16節
湘南1-0磐田
(@Shonan BMWスタジアム平塚)
立ち上がり、磐田の攻勢をしのいだ湘南は17分、CKに反応した端戸仁がワントラップから左足でシュート。ゴール右に決める3試合連続得点で先制に成功した。その後は、磐田に主導権を握られながらもゴールを死守。虎の子の1点を守りきり、湘南がホーム2連勝を飾った。
<試合を終えて>
――先制点を守り切る展開となりましたが、この試合をどう評価していますか。
「今年、我々はまだ3試合連続で勝点を取ったことがなくて、今までは3試合で勝点6が限界だった。そういう状況で迎えた試合でもあり、この夏の時期にしっかり力を出せるチームがリーグで上位に行けるということを考えれば、ナイトゲームが続く最初の試合で何とか勝点が欲しい試合だった。内容的には磐田さんの技術の高さとかボールを動かす力に押され、中盤から後ろが、少し後ろの方に重くなりすぎて相手にボールを持たれる時間が長かった。ただその中でもカウンターの脅威はもう一方の手に持っていたりだとか、セットプレーで1点を取ってその後をソリッドに戦うだとか、見てくれは湘南のアグレッシブで攻撃的な時間はもしかしたら短かったかもしれないけれど、僕の中では非常に良い試合だったと感じている。攻と守のつなぎ目がなく、お互いに一瞬の隙も作らず、見ごたえのある試合になったんじゃないかなと思う」
――選手たちに伝えてきた、自分たちで考え判断する姿勢は見られましたか。
「交代で出た選手も含めて、全員がチームの勝利のために何をすべきかということを理解してプレーしてくれた。さらにそれをやらされるのではなくて自発的にやってくれたというのは、今シーズンの中でひとつ自信にして良い試合だと思う。また、今日ピッチに立てなかった選手も、自分にチャンスが来た時に自分が得点を取ってやるとか、アピールしてやるというエゴを持つ一方で、そのエゴがチームのエゴを上回らないように、チームを大事にしながら自分のエゴを出していくという習慣を選手としてつけてもらいたい。それを改めて再確認できる試合になったと思う」
――CKからの得点は、狙い通り?
「今年、昨年とセットプレーで取った1点を守りきった1-0の試合は記憶としてはほとんどない。そういう意味では前半17分のファーストシュートが入ったということも含めて昨日は少しうちに運があった。多くを語ることはできないけどセットプレーに関しては相手の陣形、どのあたりでファウルが多い、もしくはこの場所に来たらこういうことが起こる、ということを本当に念入りに時間をかけて分析している。その中で相手の裏をかくときもあるし正攻法で行くこともある。その情報や、やることに関しては箝口令を敷きながらセットプレーもオープンプレーと同じような温度で準備をしてきた。セットプレーはキックオフ、ゴールキック、スローイン、フリーキック、コーナーキックの5つしかない中でプレシーズンから積み上げてきたものがある」