セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
親善試合は完敗、EURO本大会は圧勝。
ベルギーを破ったイタリアの本番力。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2016/06/15 11:30
ボヌッチを中心にキエッリーニ、バルザーリが脇を固めるイタリアの3バックは、まさに「壁」だ。
ボヌッチこそがピルロの後継者なのだ。
DFボヌッチこそがアズーリの新司令塔であり、天才ピルロの後継者なのだ、とベルギーが気付いたときにはもう遅かった。
32分、DFボヌッチがセンターサークルから一条のロングパスを放った。
42m先のペナルティエリアには、俊足のMFジャッケリーニがベルギーの長身CBアルデルバイレルトをかわして走り込んでいた。167cmの小兵はボールの落ち際を左足で軽やかにトラップすると、目の前のGKクルトワは問題にもならなかった。
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「あのトラップが決まったとき、もうゴールしたも同然だった」
FWジャッケリーニが小さくコンパクトにゴール右隅に蹴り込むと、イタリアのベンチは爆発した。興奮したFWザザから飛びかかられたせいで、指揮官コンテは鼻血を出す羽目になったが、文句を言うはずもない。
ルカクが、アザールが、カラスコが攻めるが……。
プレーに迷いの生じた敵の若き守護神を、イタリアはさらに攻め立てた。MFカンドレーバの左足ミドルやFWペッレのへディングがベルギーのゴールを襲う。
ベルギーの反撃は53分だった。
サイドチェンジのパスを受けたFWルカクが、カウンターの絶好機にイタリアゴールへ迫った。GKブッフォンは飛び出すしかない。
しかし、打ち急いだFWルカクのシュートは、無人のゴールを外れた。若さの代償は高くついた。
それでも、個々のテクニックに秀でるベルギーは、司令塔アザールにボールを集めることで後半のペースをつかんだ。
指揮官ビルモッツは、62分に左ウイングのFWメルテンスを入れ、MFアザールをフリーにすることで、より攻勢を強めた。76分にはFWカラスコも投入し、イタリアを自陣へ釘づけにした。
落ち着きを取り戻した守護神クルトワも、84分のカウンターのピンチに、FWインモービレのシュートをファインセーブで阻むと、90分にはFWオリジとMFフェライニが同点まであと一歩に迫った。