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親善試合は完敗、EURO本大会は圧勝。
ベルギーを破ったイタリアの本番力。
posted2016/06/15 11:30
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
どれだけ親善試合で勝とうが、真剣勝負の場で敗れれば何の意味もなさない。
勝負事の冷徹な現実を、イタリアはベルギーに結果で突き付けた。
開幕から熱戦続くEURO2016。リヨンでの大一番を制し、グループEの首位に立ったのは、勝負に徹したイタリアだった。
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EUROは隣人同士の戦いだから、フレンドリーマッチで顔を合わせたことのある国とのカードも珍しくない。
昨年11月、ブリュッセルで行われた親善試合で、イタリアはベルギーに1-3で惨敗している。
技術面やアスリート能力、攻撃へのインテンシティにおけるベルギーの優位は明らかだった。“黄金世代”と呼ばれる若手タレント軍団は、今やFIFAランキング2位の強豪へと成長し、今大会の優勝候補の一角を占める。
7カ月前と違ったのは、コンテが仕込んだ3-5-2。
涼しさ漂うリヨンの夜、ベルギーの指揮官ビルモッツは、4-2-3-1を組んだスタメンに、昨秋イタリアを撃破したときと同じ3人のアタッカーを並べた。MFアザールやFWルカク、MFデブライネは、いずれもプレミアリーグで活躍する自慢のトリオだ。
対するイタリア代表コンテが組んだ先発メンバーにも、ブリュッセルで苦杯を舐めたスタメンのうち8人が含まれていた。7カ月前と異なっていたのは、闘将コンテが試行錯誤の末に、4バックからより実戦的な3-5-2へと武装を作り変えていたことだ。
試合開始後しばらくは、両チームともDFラインを上げず、互いに慎重姿勢だったが、10分にベルギーMFナインゴランが見舞った強烈なミドルシュートを皮切りに、ゲームに火がついた。
22分にMFナインゴランがゴール正面から再びミドルを狙えば、7分後にイタリアFWペッレも左サイドから右足ミドルを放った。起点となったのは、DFボヌッチのパスカットだ。
国際舞台での無名選手が多い今大会のイタリアにあって、DFボヌッチは当代髄一のリベロとして、欧州に名を馳せている。才気あふれるユベントスのセンターバックは長短のパスを操り、最終ラインからゲームを支配した。