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武藤嘉紀「俺、ここから大爆発だから」
古巣の練習場で溢れ出た言葉と思い。 

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西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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photograph byAFLO

posted2016/06/13 11:40

武藤嘉紀「俺、ここから大爆発だから」古巣の練習場で溢れ出た言葉と思い。<Number Web> photograph by AFLO

武藤嘉紀はまさにシンデレラボーイだった。ケガという初めての大きな挫折から帰ってきた時、彼は何を新たに手にしているのだろうか。

欧州でも注目選手になりつつある中でのケガ。

 前半戦は上々の出来だった。ブンデスリーガ前半戦の成績は、7ゴール4アシスト。

「まだまだ決められるチャンスはあった。これで満足していてはいけない。何より、自分らしい仕掛けるプレーが影を潜めている。FC東京の時のように、ファウルでしか止められないプレーをここでもしたい」

 今年1月の時点では、そう自分を評していた武藤。ただ、彼が残したインパクトはやはり大きく、冬の移籍市場では今度はマンチェスター・ユナイテッドから食指を伸ばされるまでになっていた。

 そんな武藤を襲った、悲劇。

 2月6日の試合中に、右ひざの靭帯を痛め離脱。リハビリを終えて3月下旬に練習復帰を果たすも、またしても練習中に右ひざの靭帯(箇所は微妙に異なる)を負傷し、シーズン中の復帰は絶望。この間の日本代表の活動にも、招集外となった。

 2014年3月にプロデビューを果たし、その年の9月に代表デビューと初ゴールを挙げるなど、一躍時の人になった。しかし、ここに来て止まってしまった武藤の歩み。世間の話題からも遠ざかっていった。

「外に出てボールを蹴るだけでも気分は全然違う」

「今、ラップにハマっていて」

 そう笑いながら耳にイヤホンをつけると、武藤は古巣のグラウンドを走りだした。ゆっくりと、足を踏み出す感触を確かめながら、サッカーコート2面分の広さを5周走り回った。

「ウォーミングアップだけ手伝ってください!」

 そう声をかけられ、武藤に目掛けてボールを左右交互に放り投げた。インサイドキック、インステップキック、胸トラップと一通りボールの感触を確かめる。

「こうやって外に出て、ボールを蹴るだけでも気分は全然違う。サッカー選手だなって感じ」

 武藤は1度目の負傷後はドイツでの治療を選んだが、2度目の負傷後は帰国し、都内のスポーツ施設内でリハビリを行ってきた。長く厳しい室内での日々があっただけに、何気ないボールの一蹴りに有り難みを感じるのも無理はなかった。

【次ページ】 武藤「鍛えることを怖がると、成長も止まる」

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武藤嘉紀
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