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なぜ唐川侑己の輝きは消えたのか?
復活期すロッテのエース候補は今。 

text by

永田遼太郎

永田遼太郎Ryotaro Nagata

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2016/06/06 16:20

なぜ唐川侑己の輝きは消えたのか?復活期すロッテのエース候補は今。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

2011年の12勝を最高に、翌年から8→9→4→5と過去5年間で、防御率ともにずっと低迷している唐川。

一時は球速が130キロを切ることも……。

 千葉ロッテで現在、トレーニングコーチを務める楠貴彦は、昨年の登録抹消前の彼の状態をこう話した。

「ボールを長く持って、バッターに近いところで放すというのを彼はこれまでやってきたと思います。ピッチャーの足が地面についたところから長く間を保てる。それは彼の良さでもあったと思います。ただ、それを意識するあまり、バランスを維持するトレーニングばかりを多く取り入れてきたので、力強さが段々と抜けてきて、長くボールを持っても以前なら、ピュッとボールが来ていたのが、筋力が弱くなった分、フワーッとするボールが多くなった。フォームのバランスは彼の理想とするものがあったと思うんですけど、それに見合う筋力、パワーが(昨年の段階では)なくなっていたと思います」

 気がつくとボールを全力で投げられないところまで状態は悪化していた。

 ストレートの球速は130キロ台どころか120キロ台後半を示すときも増えてきて、いくら球速を意識しないと話している唐川でも、これは違うだろうというボールが増えていた。さらにボールを強く放ろうとするとフォームのバランスを崩し、より棒球になってしまうため、彼は力をセーブして投げる他なかった。

 そこで唐川と千葉ロッテ首脳陣は、長い時間をかけて彼の「原点」に立ち返る方針を固めた。

 これが「無期限再調整」の事の顛末である。

オーバースローから、より横から投げるようにした理由。

 今回、彼に再生のメスを入れたのは小谷正勝2軍投手コーチだった。

 唐川は小谷に自身の問題点を伝え、小谷もそれに沿うアドバイスを彼に伝えた。

 投球動作の基本は下半身から上半身に力を連動して伝えることである。

 それを考えた上で、唐川の腕の位置は、昨年のフォームよりやや横から出てくるスリークォーターの形がベストという結論に達した。

 唐川は言う。

「まず、僕が第一に考えたのは手首を走らせることです。そのために何をするかって話なんですけど僕の場合、癖でボールをナデちゃう。肘を抜いちゃうところがあるので、それじゃ肘と手首の連動がなくなる。その連動を出すための練習をしました」

【次ページ】 体重増、筋力アップで、少しずつ調整を進める。

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