体重増、筋力アップで、少しずつ調整を進める。

　イメージしたのは内野のスナップスローだった。

「その感覚が自分の中ではやりやすかったですし、腕を下げた方がボールをはじく、手首を走らせる感じが出せると思ったので最初はそうしようと思いました」

　体重も昨年より5kg増やした。

「（体重の増減で）中間に怪我（左脇腹痛）とかもしましたけど、それは腕を下げて体が使えるようになったから痛めたというのもあるし、体重の変化がどう影響したかは分からないですけど、当然筋力を付けているので、今までにはない動き、幅が出てくると思うのでそこら辺ですよね。今はもう体に馴染んでいますけど、増えたばかりのときはちょっと慎重になるときもありましたし、ハムストリングスや腰が張り易かったりもしました」

　今年の石垣島春季キャンプでキャッチボールをする彼を見かけたとき、腕の位置がスリークォーターというよりもほとんどサイドスローのようになっていて驚いたことを思い出した。

「腕を下げてっていうと変なんですけど、腕が自分の感覚よりも上がり過ぎていたので、元（高校時代）に戻す感じですよね。今はあの頃（春季キャンプ）よりもう少し上になっていますよ」

　そもそも高校時代の唐川はスリークォーター気味で投げていた。そこを、彼は自身の原点と位置付けていたのだ。

今季初登板では大勢のファンの温かい拍手と声援が。

　自身の開幕はチームより1カ月半遅れの5月6日。雨天の先発となった。

　初回のマウンドに上がる際には「待っていました」とばかりにスタンドの四方八方から大きな拍手と声援が飛んだ。

　その期待に応えるように唐川は7回88球を投げてオリックス打線を5安打2失点に抑える好投を見せた。白星こそつかなかったが、球速も初回から140キロ台後半のボールを連発し、それだけでも彼の復調をアピールするに充分な投球となった。

　その後、5月22日のオリックス戦で6回3安打1失点に抑えて今季初勝利。それでも彼が追い求める姿にはまだ遠い。

　1週間後の5月29日の福岡ソフトバンク戦は6つの四球を与えて4回92球で降板。さらにそのまた1週間後の6月5日の横浜DeNA戦では5回96球で10安打、4つの四球を出して6失点。2試合続けて序盤で降板を喫した。

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