島と藤平の大物比べは微差で藤平がリード？

　藤平に戻ると、昨年の夏は外角球が多く、中学時代の荒々しさがなくなっていた。それがこの春は一変、腕を振って内角を攻める攻撃的な藤平が蘇っていた。

　神奈川大会準々決勝の東海大相模戦ではストレート最速が148キロを計測し、これを左右打者の内角にねじ込み、スライダー、フォークボールのキレも超高校級。強打を誇る東海大相模にエラー絡みで4点取られたが、7回3分の1を投げ被安打6、奪三振9で勝利に貢献している。

　関東大会では、準々決勝の千葉黎明戦でストレートが150キロを計測し、速さも健在。3回表に味方内野手のエラーに続いて、自身もバント処理を焦って二塁に悪送球、さらにバントで送られ1死二、三塁のピンチを迎えるが、4番をフォークボール、5番をストレートで空振りの三振に切って取る落ち着きぶりを見せた。

　島と藤平の大物くらべは、現在のところ6－4くらいの差で藤平がリード、といったところだろうか。

フォームが田中将大そっくりの菊地大輝。

　今大会では、2人以外にもよさが目についた投手がいるので紹介しよう。菊地大輝（東海大甲府3年）、石川翔（青藍泰斗2年）、佐野涼弥（浦和学院1年）の3人だ。

　菊地は昨年夏の甲子園大会に出場し、ストレートが最速146キロを計測しており、高校野球の世界では有名な存在である。多彩な変化球を四隅に集めるコントロールもあり悪いところはないのだが、唯一私は、左肩の開きが早いところが気になっていた。

　ところがこの関東大会ではその弱点がなくなり、投げる姿がヤンキースで活躍する田中将大そっくりになっていた。

　以前その田中に「体が開かないためにはどうすればいいですか」と聞いたことがあるのだが、ダルビッシュ有（レンジャーズ）の受け売りと断った上で「ヘソが三塁方向に向いている限り絶対に開かない」と教えてくれた。その極意が菊地に受け継がれているのを見て嬉しくなった。

【次ページ】　マウンドでは大きく見える石川翔。