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複数投手制は高校野球を変えるか?
過密日程にも、飼い殺し対策にも!

posted2016/06/27 11:00

 
複数投手制は高校野球を変えるか?過密日程にも、飼い殺し対策にも!<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

横浜高校の藤平尚真は185cmの体格から150km超のストレートを投げ下ろす本格派だ。

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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NIKKAN SPORTS

 第98回全国高校野球選手権大会(夏の甲子園大会)出場をかけた都道府県大会が既に沖縄県でスタートし、私が住んでいる関東地区では西東京大会が7月2日、東東京大会が7月3日からスタート、雨天順延がなければ26日間にわたって熱戦が繰り広げられる。

 毎年楽しみなのは1、2回戦で予想しなかった好カードが組まれること。昨年は大阪大会初戦(2回戦)で優勝候補の大阪桐蔭と履正社が激突し、会場となった舞洲ベースボールスタジアムには収容人員1万人を遥かに超える高校野球ファンが押し寄せ、スタジアムの周囲が人で溢れ返るという異常事態が発生した。

 帰りのタクシー乗り場もバス乗り場も長蛇の列で、私は覚悟を決めてJRゆめ咲線の桜島駅まで歩いて帰り、東京行き新幹線の最終に辛うじて間に合った。

 今年の神奈川大会では、1回戦で横浜商大高対横浜創学館という好カードが組まれている。隣のブロックではこれも強豪の湘南学院が2回戦で桐光学園と対戦する可能性があり、その勝者が勝ち上がって4回戦に進出すれば、横浜商大高対横浜創学館の勝者と対戦するかもしれない。

 横浜商大高は一昨年も初戦で強豪・横浜隼人と対戦し3-4で敗れているので相手を変えた雪辱戦になる。また、このとき勝ち上がった横浜隼人は準決勝進出を果たしているので、強豪同士の初戦は、上位進出の第一関門と考えていい。

過密日程を乗り越えるには、複数の投手が必要。

 さて、神奈川大会で1回戦から出場したチームが優勝するためには、8回勝たなければならない。仮に横浜商大高が優勝するとして、3回戦の7月21日から決勝戦の30日までの10日間で6試合行う必要がある。神奈川に限らず出場校の多い大都市圏では同様の事情があり、求められるのは複数のエース級投手を揃えるということ。

 野村弘樹(元横浜大洋)、橋本清(元巨人)、岩崎充宏(元新日鉄名古屋)を擁し1987年に春夏連覇したPL学園はその先駆的存在だが、藤浪晋太郎(阪神)、澤田圭佑(立教大4年)を擁し'12年に春夏連覇した大阪桐蔭を筆頭に、複数の投手をそろえるのは最近では珍しいことではなくなった。

 負けるリスクを回避するために力のある1人の投手を起用し続けるというのが一昔前までの甲子園戦術なら、現在は1人エースのリスクをいかに軽減するかに重点が置かれている。

【次ページ】 横浜高の2枚エースはドラフト上位指名候補。

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