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小中高プロ、そしてU-19代表でも――。
和田昌士と遠藤渓太は「最高の2人」。 

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安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byTakahito Ando

posted2016/05/23 17:45

小中高プロ、そしてU-19代表でも――。和田昌士と遠藤渓太は「最高の2人」。<Number Web> photograph by Takahito Ando

遠藤渓太は今大会ノーゴールだったが積極的な攻撃参加で存在感を見せた。横浜F・マリノスでも5月7日にプロA契約を締結。今後に期待だ。

監督を驚かせた得点王&大会MVPの活躍。

 「この大会で渓太は爆発的な成長を遂げた。本当に驚いている」と横浜FMユースの松橋力蔵監督が目を丸くしたように、切れ味鋭い突破からの強烈なシュートでゴールを量産し、大会得点王となる7ゴールを挙げ、チームを優勝に導いた。

 昇格が絶望視されていた中で掴んだ大会MVPと得点王の個人2冠と、チームの優勝。これで遠藤の評価は急上昇し、一気に光の当たる場所に駆け上がった。

 一方の和田は負傷の影響で準決勝からの出場となり、決勝では途中出場でだめ押しの5点目のゴールを奪った(大宮ユースに5-3の勝利)が、不完全燃焼に終わった。

「大事なところで怪我をして、チームに大きな迷惑をかけてしまった……。優勝はめちゃくちゃ嬉しいですが、申し訳ないし、自分が情けないです」

 優勝で盛り上がる中、和田はこう話し、唇を噛み締めた。

和田はすでにJ1デビューも代表スタメンも経験。

 徐々に2人の「序列」は変わっていく。そして昨年9月に2人のトップ昇格が発表されると、今年に入り先にプロデビューを果たしたのは、遠藤の方だった。3月12日のJ1リーグファーストステージ第3節の新潟戦にスタメン出場したのだ。

 和田も遠藤のデビューから11日後に、ナビスコカップの川崎戦でスタメン出場しプロデビューを飾ったが、モンバエルツ監督の信頼をがっちりと掴んだのは遠藤の方で、堂々とスタメンに名を連ねるようになっていく。一方で、和田はリーグ戦では未だデビューできず、カップ戦の3試合出場に留まっている(川崎戦以外はすべて途中出場で、12分と8分間のみプレー)。

 U-19日本代表においても、今年4月に初めて2人揃って招集され、今回の水原JS杯に参加するメンバーにも名を連ねてはいるが、初戦となるフランス戦でスタメンフル出場した遠藤に対し、和田は出番がなかった。

 たった1年半で序列は逆転した。だが、互いに信頼し合う2人にとって、その変遷はマイナスには働いていなかった。それを証明したのが、第2戦のブラジル戦と第3戦の韓国戦だった。

【次ページ】 ゴール前、絶妙なタイミングでの飛び出し。

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