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本田圭佑は新監督と何を話すのか。
アタッカー6番手の評価を覆す策は?
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2016/04/18 17:30
サンプドリア戦でスタメンを失った本田圭佑。来季の所属先も不透明なだけに、ここからの5試合は正念場となる。
先発はボナベントゥーラ。しかし攻撃は機能せず……。
戦術回帰を試みようとするブロッキが、自身の初陣の鍵を握るトップ下の先発に選んだのは、本田ではなく、アタランタ時代に10番を背負っていたMFボナベントゥーラだった。
これから先の6試合に、自分たちの命運がかかっている。
悲壮感すら漂わせながら、ミランは敵地ジェノバでの試合に臨んだ。
25分に、FKの流れからサンプドリアDFドドに先制点を決められたはずが、審判団はゴールを認定しなかった。MFフェルナンドがオーバーヘッドで送り込んだクロスに、オフサイドポジションにいたFWクアリアレッラがわずかに触れた、と判断したらしかった。
ミランは決して臆していたわけではない。果敢に攻め込みはするのだが、3枚の中盤からトップ下のMFボナベントゥーラへボールが繋がらず、2トップを組んだFWバッカとFWバロテッリはなかなかフィニッシュに持ちこめなかった。ミランはこの半年の間に、トップ下を使う戦い方を忘れてしまったようだ。
何度も好機を外したが、ついに。
分厚いグラウンドジャケットを着こんだ本田が、ハーフタイムに軽くボールを使ったアップを始めた。
しかし後半が始まった直後、新監督ブロッキがアップを命じたのは、FWメネズとMFボアテングだった。
ベンチの動きに刺激を受けたのか、ミランのアタッカー3人の動きが活性化する。
「この試合がラストチャンスだ」とブロッキから最後通牒を突き付けられていたFWバロテッリは、生まれ変わったように献身的な守備をこなしながら、MFボナベントゥーラとほぼ同じ高さでプレーし、“2人目のトレクアルティスタ”としてボールの繋ぎ役を担った。
エースFWバッカは、54分のカウンターの好機に盛大なパスミスをしでかし、マークを振り切って蹴り込んだ63分の“ラボーナ”もCKへ逃げられた。FWバロテッリとMFボナベントゥーラとともに3人で攻め入った69分の絶好機にも、PA内でボールを奪われた。
ただし、その2分後に訪れた4度目のチャンスを、コロンビア人ストライカーは外さなかった。
試合を通じて動きのよかったMFクツカが、右サイドのハイプレスで奪ったボールが繋がれた。MFボナベントゥーラがPA内に切り込み、マーカーを2人かわして、FWバッカの足元へスパッとパスを通す。
浅い角度から振りぬいた低いシュートがゴール左に突き刺さると、バッカは両膝をつき、両手を掲げて天に感謝したのだった。