セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
「存在が違法」なGK、ブッフォン。
本田圭佑のプランを勝点0にした男。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAP/AFLO
posted2016/04/11 11:50
ミランはこれで5戦未勝利。本田のシュートシーンも見られたが得点はできなかった。
EL圏内の座も安泰ではない。
仮に、来月のコッパ・イタリア決勝で破れても、戴冠するユーベがスクデットも獲れば、本来5位のクラブに与えられるEL3次予選出場権が、6位に繰り下げて譲渡される。
実際にユーベが国内2冠を達成した昨季のケースでいえば、(財務状況不適格で出場資格を満たさなかった6位ジェノアに代わり)7位のサンプドリアが予選に出場した。
最終順位5位だったナポリがコッパ・イタリアで優勝した'11-'12年シーズンも、繰り下げで6位のインテルが予選出場権を得ている。
ところが直近5試合での大失速と、迷いのない攻撃サッカーで“地方の星”として勢いづく7位サッスオーロの猛烈な追い上げで、ミランの6位の座は決して安泰ではなくなった。
すぐ背後に迫るサッスオーロがジェノアに敗れたため、勝ち点差1は変わらないが、いよいよミランの尻に火が点いた。
「ユーベと互角に戦える」ことは証明したが……。
「自分たちの問題点を洗い出すのに、強制合宿は役立った。我々が内に秘める力をすべて出し切らなくてはならない。75分まではユーベと互角に戦えると証明できたのだ。合宿をやった甲斐があった」
ユーベに善戦した、とミハイロビッチは饒舌だった。
しかし、“善戦”は、6位もタイトル獲得も保証してくれるわけではない。
ミランと本田はいよいよ正念場に立たされた、というべきだ。
'14年1月にイタリアへ渡って以来、本田は王者ユベントスとセリエA公式戦で5度対戦した。そして、5度とも敗れた。
本田は王者と対峙する中で何を感じ、何を吸収してきたのか。
ミックスゾーンに差しかかった本田は、報道陣を一瞥しただけで、歩みを止めることなく立ち去った。
敗戦の夜に話すべきことは何もなかった。
この先の6試合は事実上、サッスオーロとの一騎打ちになるだろう。シーズンの最終節を終えても、その後に控えるコッパ決勝戦当日まで、胃の底を掴まれ続けるようなプレッシャーが、ミランに重くのしかかるのは間違いない。
昨夜の敗戦を糧にして、42日後に笑うことができるか。ミランの窮状に、かつてチャンピオンズカップを掲げたチェーザレ・マルディーニは、天から何を思うだろう。