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「存在が違法」なGK、ブッフォン。
本田圭佑のプランを勝点0にした男。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAP/AFLO
posted2016/04/11 11:50
ミランはこれで5戦未勝利。本田のシュートシーンも見られたが得点はできなかった。
本田が語っていた王者を破るプラン。
試合前日にあたる4月8日、伊紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』に本田のインタビューが掲載された。
本田は、ユーベがイタリア最強のチームであることを認めつつ「うちはコンパクトにまとまって、相手のスペースを消しながら前半を0-0で折り返す。ユーベを倒すのは不可能ではない」と王者を破るプランを説いた。
「勝つためには、何より自分たち自身を信じ切ることが必要」と付け加えていた本田は、アレックスの先制弾に左腕を振り上げると、一度大きく吠えた。
王者ユーベはすぐさま反撃に出た。
右サイドからFWモラタとのワンツーで抜け出したMFリヒトシュタイナーや、左からサイドチェンジを受けたMFポグバを経由したMFマルキージオが、次々に鋭いシュートでミランゴールを襲う。
27分の同点弾を決めたのは、モラタのアシストを受けたFWマンジュキッチだった。2人のマーカーを背負いつつ、冷静にゴール左隅へ流し込んだ。
ブッフォンがファインセーブ連発。
ミランも即座に2点目を取りに行こうとしたが、本田とDFアバーテはユーベDFアレックス・サンドロが立ちはだかる右サイドの攻略に手こずった。
33分、MFクツカのパスを受けた本田が、ようやく中央へ切り込んだ。低く伸びる左足シュートが守護神ブッフォンを襲った。
ただし、昨夜のブッフォンはいつも以上に当たっていた。
本田のシュートを阻んだだけでなく、ファインセーブを連発したのだ。
51分には、FWバッカのシュートを弾いた後、詰めたバロテッリの至近距離からのシュートに反応して、クロスバーに回避した。
15分のFKもすんでのところで止められたバロテッリは、試合後「今夜のブッフォンは何てついていやがったんだ!」と毒づいたが、両チームの監督と選手たちは、齢いくつになっても衰えを知らないブッフォンのセーブ能力を異口同音に讃えた。DFボヌッチは「ブッフォンは存在自体が“違法”」と感嘆したほどだ。
そんな化物GKを相手に、ミランはついに2点目を奪うことはできなかった。