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「存在が違法」なGK、ブッフォン。
本田圭佑のプランを勝点0にした男。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAP/AFLO
posted2016/04/11 11:50
ミランはこれで5戦未勝利。本田のシュートシーンも見られたが得点はできなかった。
ユベンティーノの嘆きは歓喜の合唱に。
おそらく指揮官ミハイロビッチの強い意向が働いていたはずだが、昨夜のミランは、バロテッリに何とか結果を出させようと彼へボールを集めた。その分、バッカは動かなくなった。
再三あったFKのチャンスにも、本田は一度も蹴ることなく、いずれもバロテッリが蹴った変則FKでの囮のキッカー役を通した。
一方、ユーベの10番をつけるポグバが放った59分のFKは左ポストを直撃、かなりの数がサンシーロに詰めかけていたユベンティーノたちの地響きのような呻き声が鳴り響いた。
ただし、彼らの嘆きは6分後、「ユーベ! ユーベ! ユーベ!」という歓喜の大合唱になった。
左CKをファーサイドにいたポグバが低く合わせて、2-1となる逆転弾を叩き込んだからだ。
冷静なユーベに対して混乱に陥ったミランベンチ。
徹頭徹尾、ユベントスは冷静さを失わなかった。
個々の選手たちの技術的優位と、“ミランは必ず崩せる”という確信をもった彼らのプレーは、冷静にしてダイナミックだった。
一方、73分に、ミランベンチは混乱に陥った。
FWルイス・アドリアーノと若手MFルカテッリの2人を同時投入するつもりが、動きに衰えの見えたMFモントリーボがプレー続行を固辞したため、ミハイロビッチはゲームプランの急変更を迫られた。バロテッリの代わりにピッチを去ることを強いられたのは、本田だった。
唐突な交代にも、背番号10は黙して指揮官の指示に従った。
結局3分後にバロテッリを下げ、MFボアテングを入れたミランは、4-3-1-2にシフトしたが、それでもブッフォンの牙城を崩すには至らない。
ロスタイムの5分が過ぎる前に、正面スタンドの多くの観客は席を立ち始めていた。
ミランは勝ち点49のまま、6位に留まった。
そして、この6位を死守することこそ、今やミランにとって至上命題だ。