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「存在が違法」なGK、ブッフォン。
本田圭佑のプランを勝点0にした男。
posted2016/04/11 11:50
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AP/AFLO
意味ある敗戦だったかどうか、答えは42日後に出る。
9日、本拠地サンシーロに、首位ユベントスを迎えたミランは、1-2で逆転負けを喫した。
前節アタランタ戦に次ぐ連敗で、直近5試合で得た勝ち点はわずか2に留まる。
3月の代表戦をこなした日本から再帰国後、右足打撲でアタランタ戦を欠場したMF本田圭佑は、2戦ぶりに先発復帰したものの、いいところなくリーグ最強王者の前に敗れた。
それでも、ミラン監督ミハイロビッチにとっては、納得のいく黒星だったらしい。来たる5月21日、ミランはローマでユーベと再戦する。昨夜の試合は、重要な前哨戦だった。
「我々は(ユーベと)互角に戦った。選手たちは意地を見せ、ミランらしさを発揮したのだ。今夜、彼らと渡り合えたことは、コッパ・イタリア決勝戦に向けて自信を与えてくれる」
ほどよい緊張感をもって臨んだユーベ戦。
伝統の一戦に挑んだミランのモチベーションは、すこぶる高かった。
キックオフ前のサンシーロには、6日前に逝去したクラブのレジェンドOBチェーザレ・マルディーニを追悼するショートフィルムが流れ、スタンドは故人を讃える巨大な人文字によって彩られた。国内で無敵を誇るユーベとの戦力差は明白でも、天に召された偉大なOBの前で恥ずかしい試合はできない。
闘将ミハイロビッチに命じられ、アタランタ戦後から強制合宿に入っていたミランは、心身にほどよい緊張感をもってユーベ戦に臨んだのだ。
先発復帰した本田は、指定席である4-4-2の2列目右のポジションについた。主にケアするのは、対面のDFアレックス・サンドロだ。
ミランは中盤でユーベを相手に一歩も引かず、積極的にプレスをかけ、相手陣内へ押し込んだ。
15分にFWバロテッリが惜しいFKを放つと、18分には右CKに合わせたDFアレックスが頭で叩きつけ、先制点をもたらした。
望外ともいえる先制弾は、本田も予想していなかった。