プレミアリーグの時間BACK NUMBER
2年で価格倍増のルカクの移籍先は。
エバートンに見切りをつけ、古巣へ?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2016/04/10 10:50
史上最年少でベルギーリーグの得点王に輝き、鳴り物入りでプレミア入りしてから5年。ついにルカクは「本物」になった。
CLはなくとも、古巣チェルシーが移籍先として急浮上?
移籍希望に対するリアクションとしては、「エバートン残留で満足するようなら選手としての野心を疑う」というスタン・コリモアの意見に賛成だ。得点王を争っているケインとバーディーは、それぞれトッテナムとレスターでのストライカーとしての仕事がチームの優勝争いという形で報われているが、エバートンはルカクがゴールを重ねていても中位停滞が濃厚なのだから。
そこで気になる具体的な移籍先としては、にわかに古巣のチェルシーが注目される。きっかけは、去る4月4日に正式発表された、来季からのアントニオ・コンテ監督就任。今夏のEURO2016をもって母国代表監督の任を離れるイタリア人監督は、新任地のフロントにルカクの買い戻しを要求しているとされる。
チェルシーは、昨夏の加入から怪我を繰り返すラダメル・ファルカオと、今冬の獲得から調整に時間を要したアレシャンドレ・パトの両FWに関して、レンタル移籍を完全移籍に切り替える意思がない様子。加えて昨季からエース格のジエゴ・コスタは、新監督が残留を望んでいても当人が古巣A・マドリーへの帰還を画策中と理解されている。
2年前の移籍金からほぼ倍増した市場価格。
厳しいストライカー事情を抱えるクラブは、エバートンが付けた推定5000万ポンド(約80億円)の値札も覚悟の上で、新監督の要望に応える構えを見せている。2年前の移籍金2800万ポンド(約44億円)から大幅な値上がりだが、元を辿ればアンデルレヒトに支払った移籍金と比べて1000万ポンド以上の利益をルカク売却で得ていたのだから、買い戻しに伴う高額出費という抵抗感は多少なりとも和らいでいるだろう。
チェルシーには、放出後にボランチとして成長したネマニャ・マティッチをベンフィカから買い戻した前例もある。
競合を抑えて商談成立に漕ぎ着ける過程では、ルカクの代理人とコンテとの良好な関係が物を言う可能性もある。2年前までコンテが指揮を執っていたユベントスでトップクラスのセンターハーフに成長し、商品価値が激増したポール・ポグバは同じ代理人が抱えている選手なのだ。