熱血指揮官の「湘南、かく戦えり」BACK NUMBER
湘南・曹監督のブレない心と戦略と。
未勝利続くJ監督の思いを込めた日記。
text by
曹貴裁Cho Kwi-Jae
photograph byShonan Bellmare
posted2016/03/23 12:00
開幕戦の新潟から、川崎F、広島、浦和と強豪クラブと連続して戦うことになった湘南。4月からは……逆襲の時が始まる!
朝目覚めた時、言いようのない違和感が……。
●3月19日(土)
今週は基本的に我々のチームが成長することに重きを置いてトレーニングを施したが、何も対策せずに臨むというのはあまりにも準備としては不足しているので、浦和さんに対してはこう戦おう、というトレーニングも行った。ピッチ上で選手の意見を聞きながら、選手も納得してある戦略的なことを遂行できるよう準備をしてきた。
ただ昨日の夜に改めて考えた事、スタッフが進言してくれた事、もしくは今の我々と浦和とのチーム状態の比較、その他諸々を照らし合わせると、朝目覚めた時に言いようのない違和感に包まれた。勝点3を取るという事を前提にプランを組み立てないといけないのに、どこか浦和さんに対して「良い試合」をする為のプランを作ったんじゃないかという自戒の念が沸々と湧いてきた。
それを覆い隠して選手たちに言葉で伝えていくという方法も一つだが、僕は今回はこの違和感に向き合おうと思った。
自分たちの勇気を、しっかりピッチ上で示す!
監督として試合開始ギリギリ、ロッカールームから送り出すまで、選手の心に火をつけるチャンスがあると思って言葉をかけている。そういう意味ではまだ前日だし、充分時間はある。選手にややこしいことを言って申し訳ないがという話をしながら、ある方策を授け直した。相手を分析して変えたというよりも、勝利への確率を1%でも上げられるならその確率にかけてみたいと思ったから。結果にどう影響を及ぼすかは正直試合をやってみないとわからないが、相当楽しみな気持ちになっているのは間違いない。今の自分の現実の中の100%を出し切ったと思えるような準備をすることが、監督としてとても大事じゃないかなと思っている。
強豪浦和さんに対しては2003年(天皇杯)以来勝っていないし、去年も2敗した相手。ACLに出ているチームに対して、単にいいところと悪いところを抽出して終わらせるような試合にしてはいけない。
たくさんのお客さんが期待しているのが勝利であり、我々として自分たちのできることすべてをぶつけて相手に立ち向かっていく。少なくともその勇気がピッチの中で見られなければ赤い王者に捻られてしまう。捻られても元に戻るような反発力でゲームに臨んでいきたい。