野球場に散らばった余談としてBACK NUMBER
金本知憲監督もノータッチの新人。
阪神の新人・高山俊は“モノが違う”。
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/03/22 11:00
スタメンでの出場が確定しており、3月25日の開幕戦(対中日戦)は京セラドームでのお披露目となる。
驚異的な対応力で開幕スタメンを奪い取った。
同20日のオリックス戦はブランドン・ディクソンと対戦。1回、145kmの外角直球をライナーで左前に運び、2回には縦に低く鋭く落ちるナックルカーブを拾って三遊間を破る。すでに、立ち遅れ、間合いを取るのに苦しむ姿が消えていた。堂々と一軍の主戦級と渡り合っていた。
試合後、金本監督の囲み取材で「あの2本は内容的にも、開幕に向けて整ったと見ていいですか」と聞いた。数秒の間を置いて返ってきた。「そうね。でしょうね。明日4タコしたからといって(開幕戦で)外したら……。そういう監督はいないでしょう」。独特の言い回しで笑わせ、初めて開幕スタメンを明言した。
“原点”に立ち戻りプロのスタートを切る。
プロで生き抜くために大切な条件がある。自分の立ち位置を知り、どういうスタイルで勝負すべきか、冷静に見極めることである。開幕まで2週間を切り、高山はある決断をくだした。
「いまは試行錯誤しています。これまでの自分の形がある。結果が出るか分かりませんが、まずは自分のスタイルでやっていこうと思っています」
キャンプインから柵越え連発の打撃に取り組んで話題を呼んだが、まずは明大時代のスタイルで臨むという。131安打を刻んだミート中心の原点に立ち戻り、そこから新たな可能性を探っていく。
打席を重ねるほど、死角はどんどん消えていくが、そのなかでも苦心するのが内角直球だ。さあ、お手並み拝見。ダイヤモンドの原石が、どう磨かれていくか注目だ。もうすぐ春が来る。何者かになるために、真っさらな打席へと向かう。