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クラシック戦線に2頭目の「化け物」。
マカヒキの強さを示す2つのタイム。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/03/07 12:10
父ディープインパクトを彷彿とさせる末脚を見せたマカヒキ。父と同じ道を歩むことはできるか。
「絶対的な速さ」を示す2つの数字。
朝日杯以来2カ月半ぶりの実戦となったリオンディーズとエアスピネルはともに掛かり気味に先行し、後ろの目標になるという不利な部分があった。
そんななか、後方一気の競馬で差し切ったマカヒキは、展開に恵まれて「ハマった」という見方もできそうだが、1、2コーナーでポジションを上げるため鞍上に促されても、そこでスイッチが入ってしまうことなく、いい位置でまた折り合うというクレバーなレースぶりだった。
また、勝ちタイムが1分59秒9というレースレコードで、上がり3ハロン33秒6という「絶対的な速さ」を示す数字は、流れに味方されただけで叩き出せるものではない。
武「普通なら勝っているレース。上の2頭は強い」
マカヒキは、文句なしに強い。
その強さは、3着のエアスピネルの視点から見るとわかりやすい。
エアスピネルは、朝日杯では後ろから来たリオンディーズにやられた。今回は逆に、自分がリオンディーズを3馬身ほど後ろからマークする形になった。武は、4コーナーでの仕掛けをワンテンポ、いや、ツーテンポ遅らせ、溜めていたエネルギーを爆発させた。「マーク」というのは、される側よりする側が圧倒的に有利だ。直線に向いたときは、エアスピネルが、朝日杯とは逆にリオンディーズをあっさりかわすかに見えた。が、差は詰まらなかった。
エアスピネルは、またもリオンディーズの強さに屈した。そのリオンディーズを、マカヒキは、並ぶ間もなくかわしたのだ。
「不思議な感覚です。いい競馬をして、最後まで走り切った。普通なら勝っているレースだった。上の2頭は強いです」という武のコメントが、リオンディーズと、それをも上回ったマカヒキの驚異的な強さをよく言い表している。
これでマカヒキは3戦3勝。新馬、若駒ステークス、弥生賞を無敗で制したのは、父のディープインパクトと同じ。オーナーが金子真人ホールディングスというのも同じだ。
ルメールには、3戦全勝できさらぎ賞を制したもう一頭の化け物、サトノダイヤモンド(父ディープインパクト、栗東・池江泰寿厩舎)というお手馬もいるのだが、クラシック本番ではどちらに乗るのだろうか。