沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
高松宮記念は「怪物」の姉が怖い。
前が競れば、後方一気が届く気配。
posted2016/03/26 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
NIKKAN SPORTS
上半期のスプリント王決定戦を制するのはどの馬か。第46回高松宮記念(3月27日、中京芝1200m、4歳以上GI)は、前年の覇者である香港のエアロヴェロシティが来日後、疝痛を発症して回避したことにより、ますます難解な一戦となった。
中京コースが改修され、2012年にリニューアルオープンしてから、これが5度目の高松宮記念となる。直線が長くなって坂ができたことにより、ゴール前の攻防が激しさを増し、見応えのあるレースが多くなった。
となると、逃げ・先行馬に不利なコースになったかのように思われるが、過去4年のこのレースで3着以内に入った12頭のうち半数近い5頭が、4コーナーを3番手以内で回っていた。逃げ切った馬こそいないが、差し・追い込み馬とほぼ互角にやれているのだ。周りに馬の少ないところを走る先行馬のほうが、向正面から直線入口までつづく下り坂で、他馬に邪魔されずにスピードに乗りやすいからだろうか。
今年も強力な先行馬が何頭かいる。
なかでも人気を集めそうなのは、調教師が「逃げ宣言」ともとれるコメントをしているミッキーアイル(牡5歳、父ディープインパクト、栗東・音無秀孝厩舎)だ。昨年は、好位から直線で抜け出しを狙うも、エアロヴェロシティとの追い比べに敗れて3着。逃げ一辺倒から、好位差しへの脚質転換をはかっていた最中の一戦だった。
ところが前走、松山弘平に乗り替わった阪急杯では久しぶりに逃げる競馬をし、'14年のスワンステークス以来の勝利を挙げた。無理に抑えるより、スピードを生かして逃げてこそよさが出ることが証明された。今の勢いなら、同年のNHKマイルカップ以来のGI勝ちも充分あり得る。
先行馬に有力どころが揃った今回。
ただ、ここには同型がほかにもいて、それらがまた強い。
'13年3着、'14年5着、昨年2着と、このレースの「リピーター」になっている古豪ハクサンムーン(牡7歳、父アドマイヤムーン、栗東・西園正都厩舎)も、できればハナをとりたいクチだろう。5カ月ぶりの実戦で2着に来た前走のオーシャンステークスを見る限り、年齢的な衰えはない。
逃げて1000万、1600万、オープン特別を3連勝し、前走のシルクロードステークスで2着に残ったローレルベローチェ(牡5歳、父サクラバクシンオー、栗東・飯田雄三厩舎)のスピードもかなりのものだ。
昨年の桜花賞を逃げ切ったレッツゴードンキ(牝4歳、父キングカメハメハ、栗東・梅田智之厩舎)も、今回が初めての1200m戦とはいえ、その気になれば、ハナに立てるだけのダッシュ力を持っている。