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「ずっとめちゃくちゃ助けられてる」
アバーテが本田圭佑に向ける“尊重”。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2016/02/23 18:00
守備でミランでの信頼を得た本田圭佑は、この日もナポリにとって厄介な存在だった。
4カ月前にはなかった充実感を漂わせる選手たち。
4カ月前に喫した0-4の屈辱的大敗から、1-1の敵地ドローへ。白星を取り返すには至らなかったが、スクデットを目指す相手からもぎ取った勝ち点1は決して小さくない。
試合後の指揮官ミハイロビッチにも、引き分けという結果を嘆く様子はなかった。
「敵地ナポリで何とか結果を出したかった。(低調だった)シーズン前半戦のことを思えば、後半戦に入ってから(7試合)負けなし、勝ち点15を稼いでいるのだから今のところ上出来だろう。この集中力とスピリッツがあれば、3位をかけて最後まで戦うことができる。今夜も選手たちを褒めてやりたい」
先週の土曜日、ミランには“全勝指令”が出ていた。
オーナー就任30周年を迎えたベルルスコーニが下した「(3位獲得のために)残り13試合を全勝せよ」という勅令には早くも背くことになってしまったが、ミハイロビッチは「(現場の)我々は我々の道を行くのみだ」と語るに留めた。
濃緑とイエローの3rdユニから移動用スーツへ着替えたミランの選手たちが、次々にサン・パオロの地下ミックスゾーンを通っていく。彼らの顔には、4カ月前にはなかった充実感が漂っている。
試合後、アバーテが本田について聞かれ……。
王者ユベントスと熾烈な首位争いを続けるナポリを相手に、アウェーでドローに持ち込めたのは個々の献身性に立脚した現在のチーム戦術の賜物だ。そして、そのシンボル的存在が背番号10であることはチームメイトにとってもはや自明であり、地元メディア上でも“ミランの4-4-2の要は本田であり、彼抜きで100%機能させることは難しい”という見方が固まりつつある。
だからこそ、右サイドで本田と前後のコンビを組むDFアバーテが試合後に語った言葉は興味深かった。
「チームは今とてもまとまっている」と満足げなアバーテに、SKYイタリアから試合終了間際の攻撃についての質問が飛んだ。
88分、カウンターの好機に本田がシュートを打った場面のことだ。「(本田に)自分へパスを出せ、とは思わなかったか?」という質問だった。