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「ずっとめちゃくちゃ助けられてる」
アバーテが本田圭佑に向ける“尊重”。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2016/02/23 18:00
守備でミランでの信頼を得た本田圭佑は、この日もナポリにとって厄介な存在だった。
左足インサイドでの撫でるようなクロスがアシストに。
ただし、ベンチに甘んじていた4カ月前とちがい、グラウンドに立つ本田は反撃に転じる。
前半終了間際の44分、右サイドでフリーになった本田は、左足インサイドでゴール前に丁寧なクロスを放った。優しく撫でるようなキックだった。
ナポリDFクリバリーが頭でそらしたボールは、ゴール左前にいたMFボナベントゥーラの前へ飛ぶ。ボナベントゥーラがダイレクトに右足で押し込み、スコアは1-1の振り出しに戻った。
ただし、後半もボールをキープし続けるナポリに、ミランは自陣に押し込まれる展開。67分には、途中出場したナポリFWメルテンスの右足シュートがミランゴールの左ポストを叩く決定機もあった。
右サイドを上がった本田が、FWバッカ目がけてクロスを入れる場面もあったが、今やリーグでも指折りの堅守を誇るナポリのCBコンビに弾き返された。この夜のバッカは前線で孤立し、何もできないまま72分にFWメネズと交代した。
本職の守備的MFかと見紛うほどの存在感。
しかし、本田による73分のボール奪取は圧巻だった。
タッチライン沿いで競り合ったナポリDFグラムは倒れたが、タックルを仕掛けた本田の足は正確にボールを捉えていたために、バンティ主審はノーファウルと判定。判定に不服を唱えた敵将サッリが毒づいたら、退場を命じられた。
守備的MFが本職なのでは、と見紛うほど、今の本田には頼り甲斐がある。もしかしたら、今のミランで足元の競り合いに最も強いのは本田かもしれない。
首位奪回のためにどうしても勝ち点3が欲しいナポリは、80分に4人目のFWガッビアディーニを投入し、4-2-4とさらに前がかりになった。2分後、FWイグアインの左足シュートがミランゴール左を襲った。
ミハイロビッチ監督は、DFアレックスとDFサパタのCBコンビへ「互いに離れるな! 距離をとるな!」と指示を出し、後半ロスタイムに失点した前節ジェノア戦での失態を繰り返さないよう、守備陣へ活を入れ直す。
それでも、双方の緊張が緩む時間帯はなかった。後半ロスタイムの猛攻を凌ぎ切り、タイムアップの笛が鳴った。