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ラグビー日本選手権はパナが完勝。
「勝負にならなかった」結果の教訓は? 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2016/02/03 10:40

ラグビー日本選手権はパナが完勝。「勝負にならなかった」結果の教訓は?<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

圧倒的な破壊力を見せたパナソニックの堀江。「学生でも(その能力は)学生じゃなかった」と自らの母校の後輩たちを賞賛した。

フィジカルも経験も上回るTL王者が隙無く戦った。

 実際、大学選手権7連覇の学生王者は、2トライを取られた後で目を覚まし、果敢なアタックに出た。

 10分、SO松田力也の突破から右WTB尾崎晟也、さらにFB矢富洋則につないでパナソニックのゴールラインに迫る。だがパナソニックWTB児玉が背後からタックルを浴びせ、ゴール前5mでノックオンさせる。26分には帝京大が尾崎のカウンターアタックから左WTB竹山晃暉がゴール前にグラバーキックを蹴って追うが、間一髪戻ったヒーナンが竹山と競り合い間一髪インゴールで押さえた。

 フィジカルも経験も上回るトップリーグ王者が、まったく隙なく戦った。

 前半33分にはパナソニックが攻め返してWTB山田章仁がフィニッシュ。前半は21-3。

 まだ勝負の行方は分からない――スタジアムにそんな期待感が残っていた後半。トップリーグ王者はまたも、ロケットスタートをみせる。いや、ロケットリスタートか。

 再開1分にSH内田啓介、7分にCTB林泰基が連続トライで35-3まで一気に引き離す。

 それでも学生王者は諦めなかった。18分には2年生HO堀越康介がトライ。38分には1年生WTB竹山が左隅に飛び込んだ。

 ファイナルスコアは49-15。学生王者はひるむことなく挑み続け、トップリーグ王者もまた、緩めることなく体を張り続けた。

「10番の松田クンは日本代表に呼ぶべき」

「シーズンを締めくくるいいゲームだった。どちらのチームもタフで、速い展開をみせたね」

 パナソニックのロビー・ディーンズ監督はそう言うと、帝京大の選手を称えた。

「帝京大の気迫は素晴らしかった。パナソニックの選手は前半でかなり息が上がっていた。点差がついても帝京大の選手たちは仕掛けてきた。日本ラグビーの未来は明るいね」

 パナソニックの司令塔バーンズも同じことを口にした。

「帝京大には日本ラグビーの次代を背負う選手がたくさんいた。特に10番の松田クンは、ゲームコントロールもフィジカルも優れていて、トラブルを解決する能力も高い。日本代表に呼んだ方がいいと、僕からジェイミー・ジョセフ(日本代表新ヘッドコーチ)に提案したいよ。あとは両WTBも素晴らしかったし、彼らが輝いたのはFWが強いプレーをしていたからだ。コーチがいい仕事をしていたと思う」

【次ページ】 大学が一発勝負で日本一に挑むシステムへの疑問も。

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