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ラグビー日本選手権はパナが完勝。
「勝負にならなかった」結果の教訓は?
posted2016/02/03 10:40
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
Kiichi Matsumoto
試合後の会見で、質問に一通り答え終えた帝京大の岩出雅之監督は、苦笑して付け加えた。
「バーンズと堀江、頑張りすぎですよ」
1月31日、秩父宮ラグビー場で行われたラグビー日本選手権。元オーストラリア代表SOベリック・バーンズ、そして日本代表HOの堀江翔太主将。パナソニックのBKとFWを率いる両輪は、まさしくピッチを制圧した。
試合開始のキックオフ。バーンズが高く蹴りあげたボールは、身長196cmの元オーストラリア代表、セブンズ日本代表LOヒーナンダニエルが高く跳び上がって確保。ここからパナソニックは次々とアタックをかける。
SOバーンズは正確なパスを散らしながら、前のスペースが空けば力強く前進。帝京大がタックルで止めれば、次のフェイズではFWの堀江がSOの位置に入ってパスを捕り、力強く前進したかと思えば軽やかなバックパスなど多彩なボールさばきで帝京大ディフェンスを切り裂く。
SOバーンズとのダブル司令塔が休むことなくボールを動かし、重ねたフェイズは11(うち4回は堀江がボールを持って前進した!)。1分25秒かけてボールを動かしたパナソニックは、右WTB山田章仁からパスを受けたFB北川智規がノーホイッスルで先制トライ。
「ロケットスタートで行くことは意識していた」
次のキックオフでも、帝京大が深く蹴ったキックをやはりヒーナンが確保すると、パナソニックは自陣深くからアタック。今度も13のフェイズを重ねて帝京大ディフェンスを翻弄し、左WTB児玉健太郎がゴールポスト真下に飛び込んだ。このときスコアボードの電光時計は5分08秒。これまで帝京大はまったくボールを保持していない。
「ロケットスタートで行くことは意識して臨みました」
試合後、パナソニックの堀江翔太主将は言った。
「最初に受けたら、試合の流れが絶対向こうに行くと思った。会場の雰囲気も、帝京大が接戦に持ち込むことを期待しているし、レフリングも影響を受けるだろうし。そんな流れに飲み込まれないように、最初から行く。前半は、意地でもトライを取らすなと」