決勝で敗れること実に11回。広島の運命は。

　最後に広島だ。前身チームの東洋工業サッカー部（マツダSC）から数えると、天皇杯最多の数字が残っている。

　それは、準優勝。東洋工業時代に3度の優勝を果たしているが、その一方で決勝で涙をのんだ回数は、計11回にものぼる。

　Jリーグ創設後『サンフレッチェ広島』となって以降も、天皇杯決勝は鬼門である。Jクラブが参戦した'92年度から'14年度までの23回のうち、5回も準優勝に終わっているのだ。これは一番多い回数である（2位は清水の4回）。

　そんな広島の決勝戦のスコアを調べてみると……。

■広島：Jリーグ開幕以降、準優勝時の決勝戦結果
第75回（'95年度）vs.名古屋　0－3
第76回（'96年度）vs.V川崎 　0－3
第79回（'99年度）vs.名古屋　0－2
第87回（'07年度）vs.鹿島　　0－2
第93回（'13年度）vs.横浜FM　0－2

　なんと、進んだ5試合すべて無得点で敗れている。広島にとっては嫌なジンクスだが、むしろ今の広島なら“シルバーコレクター”を払拭するチャンスともいえる。以前も紹介した通り、今季の広島は勝ち点74、そしてリーグ最多73得点、最少30失点をマークした。そしてクラブW杯では茶島雄介、丸谷拓也ら出場機会が限られた選手たちが奮闘して3位。ベンチを含めた総合力の高さを見せた。

「寿人→浅野」の必勝パターンはまたしても？

　森保一監督の冴えわたる采配と、交代選手の活躍を象徴するのは浅野拓磨だ。浅野は今季リーグ戦で8得点、JリーグCS決勝第2戦では優勝を決定づけるヘディングシュートを決めた。そして天皇杯準々決勝・FC東京戦でも2得点を挙げて、チームを勝利に導いている。

　上に挙げた11得点はすべて途中出場でゲットしたもので「佐藤寿人→浅野」の交代策は必勝パターンとなった。そのため浅野にはスーパーサブの印象が強いが、5試合に先発出場した今季ナビスコ杯では4得点をマーク。先発でも結果を残せることを証明している。

　浅野は年明けに開催される五輪アジア最終予選、U-22日本代表にも選出されている。天皇杯でさらに波に乗る一撃を決めて、決戦の地・カタールへと乗り込みたい。