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細貝萌が明かしたトルコ移籍への思い。
幻となったヘルタのキャプテンマーク。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byYusuke Mimura

posted2015/12/13 10:50

細貝萌が明かしたトルコ移籍への思い。幻となったヘルタのキャプテンマーク。<Number Web> photograph by Yusuke Mimura

ブルサスポルはトルコリーグ創設から4年後の1963年に創設された歴史あるクラブ。細貝はトルコで再び輝こうとしている。

遠征メンバー発表で起こった拍手。

 それでも4月の終わりには、練習に復帰した。そして、5月22日、ホッフェンハイムとのアウェーゲームを翌日にひかえて、遠征メンバーが発表された。そこで細貝の名前がよばれると、チームメイトたちからは拍手が起きたという。

 ダルダイ監督に冷遇されても腐らずに練習を続けていた姿も、怪我をしないために普段からサッカーにすべてを捧げる姿勢も、彼らはその目で見てきたからだ。

 ヘルタは最終節のホッフェンハイム戦を1-2で落としたものの、自動残留の決まる15位でシーズンを終えた。

 ほどなくして、クラブは当初の方針を変えることにした。このシーズンの終わりまでの暫定で監督を務めることになっていたダルダイが、'15-'16シーズンから正式にトップチームの監督になることが決まったのだった。

 当然、この決定をうけて、細貝の周囲では移籍をすすめる声もあった。それでも、ベルリンという街にもヘルタというクラブにも愛着を感じていた細貝は、もう一度だけ頑張ってみようと考えた。しかし、開幕に向けてチームが進んでいくなかで、どうにもチャンスがなさそうなことがわかってきた。

紅白戦からも外される待遇の中、届いたオファー。

 プレシーズンの練習中、こんなことがあった。怪我人などがいたため、クラブの下部組織から人数合わせのために数人の選手が呼ばれていた。そんな状況下、紅白戦を行なうにあたって、ダルダイ監督は細貝にこう命じた。

「おまえはグラウンドの外を走っておいてくれ」

 そうした現状を踏まえ、細貝は代理人と相談の上で、移籍先を探すことにした。ドイツ国内外からいくつかのオファーが来た。細貝に直接電話をかけ、評価を口にしてくれるブンデスリーガのクラブ指揮官もおり、実際にブンデスリーガ内の移籍を真剣に検討していた。

 そんな折、ブルサスポルからオファーが届く。そのクラブ名は聞いたことがあるような、ないような……。ピンとこなかった細貝は、ヘルタのチームメイトだったトルコ人のシゲルチをはじめ、周囲の選手からも情報を集めた。

 2010年にリーグ優勝も果たしているブルサスポルは、歴史があり、資金力にも恵まれ、熱狂的なサポーターがおり、高額所得者の税金が安いために有名な選手も集まってきている。また、トルコには、ポドルスキ、マリオ・ゴメス、ナニ、ファンペルシなど、世界中に名を知られた選手たちの移籍も取り沙汰されていた。妻のためにも気になっていた環境についても、ブルサという街がトルコの中でも治安が良いことで知られているということがわかってきた。

【次ページ】 「今の経験は必ず生きる」

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