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1度ならず2度のイップスを克服!
宮里藍、強靭なメンタルの謎。
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byShizuka Minami
posted2015/12/03 10:50
米ツアー最終戦。イップスで苦しんだとは思えない爽やかさでプレーしていた宮里。
実は既にイップスの克服経験もあった!?
それでも現状から逃げ出すことなく、試合前や試合後、黙々と繰り返し繰り返しパットの練習を続けた。不調の時こそ、休みの日に気分転換など何かしないのかなと思ったが「じっと耐えるしかないんですよ。人それぞれだと思いますが、シーズン中は四六時中自分と向き合う方が私はうまくいくので」
そう、宮里藍は“マジメ”なのだ。
マジメだから真摯にゴルフに向き合う。もしゴルフ以外に趣味などはけ口が幾つかあればイップスにならなかったかも……と思ってしまう。
「もうとっくに大丈夫です。今は『(パットの)ラインの読みの精度を上げていけるか』という段階です。やっぱり迷いがあるうちはミスをしたくなくて、入れにいくというより寄せにいってしまっていたので。9月頃からやっとアグレッシブに打てるようになってきました」
サラッと今の課題をあげられるくらい宮里は“イップスを克服”していた。1度ならず、2度までも。
宮里以外に10年以上在籍したのは岡本と小林だけ。
そう、宮里藍はただのマジメな女の子ではない。
自分自身を直視し弱さを克服し得る“強靭な忍耐力と向上心”を持ちあわせている――類稀なるゴルフのセンスに加えて。
それが世界中から集まったトップゴルファーがしのぎを削る米ツアーで10年間も生き残ってきた理由なのだ。宮里以外に10年以上米ツアーに在籍した日本人選手は、岡本綾子と小林浩美の2人だけである。
「逃げてる時もたくさんありますよ! 私も人間なんで」宮里は笑う。たしかに去年から今年にかけて「しっかり自分と向き合います!」というフレーズを何度も発した。宣言することで自分を奮い立たせていたのかもしれない。