イ・デウンが語る野球における日米の違い。

　そんな8年間の異国の生活について、1年目は右肘の手術を行いリハビリをする毎日だったとか、完治してからも、思うような投球ができずに苦しんだとか、言葉の壁もあり一人で悩むことが多かったとイ・デウンは振り返る。

「野球で成績が良くないときは家族がいつも支えになってくれました。シカゴにいるときはたまにこちらにも来てくれたりもしましたが、基本はいつも電話だけでしたから。家族はいつも僕に『まあ大丈夫だよ』とか『次頑張れば良いんだから』と気遣った言葉をくれました。それが何よりも大きかったです」

　彼の耳横から首筋にあるタトゥーには、大切な両親と姉二人の名前のイニシャルが彫られている。

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　そんなイ・デウンに日米の野球の違いについて訊くとこう語った。

「野球の考え方がまず違います。アメリカは力と力で勝負をするイメージですが、日本はみんなで繋いで、繋いでという野球をしてくる。アメリカの場合は極端に言えば、1番から9番まで全員がホームランを狙って（バットを）振ってくるけど、日本はホームランを打つという考えをまず捨てて、当てに来て、当てに来てというイメージ。ピッチャーからするとその辺りがめんどくさかったりするし、ムカムカすることもある」

　たしかに今季のイ・デウンは当てに来る打者に対してマウンドで不快感を隠しきれていなかった。たった1年間のデータではあるが、福岡ソフトバンクのイ・デホ、柳田悠岐、埼玉西武のメヒアらとのパワー勝負に対してはまずまずの相性だが、彼が言う“日本式”の範疇に入るのであろう北海道日本ハムの中島卓也や、福岡ソフトバンクの中村晃ら、“当てに来るバッター”に対してはすこぶる相性が悪かった。

　このあたりをどう改善していくかが来季以降のカギになるだろう。

「まだ先発の能力はない」

　今季、幾度かにわたって先発とリリーフを行き来させた落合英二投手コーチは、イ・デウンの起用法について質問をすると、辛辣なコメントを返した。

「あれ（先発とリリーフを行き来させた）は先発の能力がないだけです。（現時点の能力では）長いイニングが無理で、短いイニングの方が仕事ができるという意味でね。今の状態ではまだまだ……」

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