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韓国人初の日本球界2ケタ勝利を!
ロッテのイケメン投手、イ・デウンの夢。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byNaoya Sanuki
posted2015/11/29 10:50
高卒後、韓国プロ野球界入りせずメジャーへ渡り、シカゴ・カブスに入団したイ・デウン。プレミア12では、準決勝で大谷翔平と投げ合うこととなった。
韓国代表の未来のエースは、まだ試行錯誤中。
先発時、自慢の直球とスプリットを活かすため、カーブを間にはさむなど緩急を加えようという意思は見えている。しかし、精度という部分ではまだ改良の余地が残る。
その一方で、日本の野球に早く対応しようと、涌井に助言を求めたこともあったという。
「向こう(デウン)から変化球のこととか訊いてきたりしますからね。交流戦のときに、広島で話をしたときは、もっとしっかりカウントを取れる変化球を投げたいと言うから、デウンの変化球の握りとかも訊いて、それでもいいと思うけど俺はこうしているよ、というなかで、投げ方も全部教えて、それで彼がやったかどうかは分からないですけど、そういう話とかもしました」(涌井)
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プレミア12の日本戦ではスプリットやカットボールでカウントを稼いだイ・デウンだが、涌井に教わった点でも参考にした部分があったのだろう。さらに、そのプレミア12では投球フォームも、シーズン中にしていたセットポジションからワインドアップに変更し、新しい一面を見せていた。
中日でも活躍した韓国代表のソン・ドンヨル投手コーチのアドバイスだと韓国のメディアは伝えている。シーズン中は左肩が早く開く分、自慢の速球もタイミングを合わされて軽く弾き返される場面もあったが、あの一戦を見るかぎりその辺りもだいぶ修正されているようだった。
涌井も絶賛する、その鋭い腕の振り。
イ・デウンの長所について、涌井に質問をするとこんな答えが返ってきた。
「やっぱり球の速さじゃないですか。あそこまで腕が振れるのってなかなかいないですよ。デウンか則本くん(東北楽天)くらいじゃないですかね」
プレミア12準決勝・日本戦の球数は3回1/3、18人の打者に対して95球。改善した投球フォームもまだまだ自分のものになっているとは言えず、特に走者を背負ったセットポジション時は制球に不安があり、無駄なボールが多かったのは否めない。しかし、その秘めたるエンジンは今年3度目の最多勝を獲った涌井も称賛するほどだ。