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ペップ、エンリケの大のお気に入り。
バルサでセルジ・ロベルトが開花。
posted2015/11/12 10:30
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
バルサが調子を上げてきた。
昨季までの戦術的肝であったメッシを故障で欠きながらも攻撃が機能するようになり、11節を終えて、ネイマールが11得点でランキングトップ。ルイス・スアレスは9得点で2位。一方で、最初の9試合(全公式戦)で16ゴールを許したディフェンスも修正され、ここ10試合の失点は7に抑えられている。
加えて、前節はマドリーとの首位交代もあった。
21日サンティアゴ・ベルナベウで行われるクラシコが俄然面白くなってきた。
今回の決戦で注目すべきは、一般的には先のビジャレアル戦で実にブラジル人らしい見事なゴールを決めたネイマールだろう。メッシのいない攻めに慣れ、現在波に乗っている。が、この稿の読者にお薦めしたいのは、いよいよ輝き始めたカンテラの秘宝セルジ・ロベルトである。
“現れる”能力と並外れた決定力。
カタルーニャ自治州南部のレウスで生まれたセルジ・ロベルトは、14歳のとき、近隣最大のクラブ、ナスティック(現在2部)のカンテラからバルサ入りした。他の選手目当てで試合に足を運んだバルサ育成部門のディレクターが、一目惚れしてのことだった。
バルサのカンテラでは、まず左足の技術を磨くために、左のインテリオールをやらされた。すると、発揮したのは“現れる”能力と並外れた決定力だった。
さっきまで中盤の低いところにいたのに、次の瞬間敵ゴール前に現れ、高いボールも低いボールも難なく決めてしまう。
テクニックもスタミナもゲームビジョンもある。当たり負けしない身体と犠牲の精神も兼ね備える。
セルジ・ロベルトはやがてバルサだけでなく、スペイン全国でも珍しいボックス・トゥ・ボックスのミッドフィールダーとして評価を高めていった。