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南野拓実はサプライズではない!
スーパーとごっつぁん、2つの“形”。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/10/03 10:40
ハリルホジッチから「数年後」を期待された南野だが、おそらく本人に待つ気などないはずだ。
ハリルが褒めたオフザボールの動き。
10月1日に行なわれた日本代表のメンバー発表でも、ハリルホジッチ監督は南野をこう評している。
「彼のプレーで一番面白いと思うのは、ボールがないときの動き。常に得点を取る、もしくは取らせるポジションにいる。リーグ戦でもカップ戦でも点を取っている」
南野自身は意識の変化について、こう話していた。
「前のシーズンを振り返って、周りで見ている人も感じたかもしれませんが、もっとシュートを打たないといけない、もっとアグレッシブに行くべきや、と自分でも感じました。それを今シーズンは体現していこうとしていて、その意識の変化が上手く今の自分につながっていると思います」
開幕時、南野は控えだった。
もっとも、南野は開幕から順調な滑り出しを見せていたわけではない。むしろ、苦境に立たされていた。
マルメとのCLの予備予選3回戦のセカンドレグが行なわれた8月5日。ザルツブルクはホームでのファーストレグを2-0で勝っていた。2点差で負けたとしても、アウェーゴールを1点でも奪えばザルツブルクが勝ち抜けになる。南野はベンチからのスタートだった。
チームは序盤から相手の猛攻にあい、失点を重ねてしまう。ザルツブルクはエースのソリアーノを含め怪我で戦列を離れている選手が多かったにもかかわらず、南野には声がかからなかった。
UEFA主催の大会では、3人までしかウォーミングアップが出来ない。しかし、前半からアップを命じられた3人の中に南野は入ってもいなかった。その3人のから、プレブリャクが最初の交代選手として呼ばれる。枠が1つあいた。
すると、南野はベンチにあったウォーミングアップの選手が着用するためのビブスに袖を通し、ウォーミングアップエリアへと走っていった。
もっとも、この試合で交代出場を果たしたのは監督から始めに呼ばれた3人の選手。4番手だった南野は、最後までピッチに立つことはなかった。そして、チームは0-3で敗れてCL出場の夢もやぶれた。マルメはその後プレーオフを勝ち抜き、CLの本戦に出場している。
ビブスに手を伸ばしたときの気持ちを、南野はこう振り返る。
「あのとき(アップをするように)言われていないんですけど、自分から行きました(笑)。『オレを試合に出してくれよ!』って思ってね」