サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
U-22の“秘密兵器”が遂に登場か。
川崎・中野嘉大がA代表DFを翻弄!
posted2015/10/06 10:30
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
久しぶりに見ていておもしろい、リオ五輪の貴重な戦力となり得る選手が出てきた。4日、ガンバ大阪戦で1ゴール1アシストの活躍をした川崎フロンターレのルーキー・中野嘉大である。
試合開始早々から24000人の観客とガンバの守備陣の度胆を抜いた。
前半2分、スルスルとドリブルでペナルティエリア内に侵入し、激しく寄せてきた米倉恒貴を簡単に抜き去ってファーサイドにいた大久保嘉人に合わせた。「練習でやっていたことをうまく試合に出せた」というアシストで、大久保の貴重な先制ゴールを生んだ。そのワンプレーで、練習通りにやればやれると自信を深めたのだろう。それ以降、川崎の左サイドは中野のワンマンショーだった。
クライマックスは、後半10分。
左サイドでボールを受けると、マッチアップした米倉を絶妙な切り返しでかわし、GKの呼吸を外して右足で決めた。自らのJリーグ初ゴールは、チームにとって最高の追加点(3点目)となり、ガンバに相当のダメージを与えたのだ。
「うれしかったですけど、あまり覚えていないんです」
中野はそう笑顔を見せたが、この得点シーンからは、プレイヤーとしてのすごさが見て取れる。
ゴール前で、落ち着いて駆け引きする胆力。
まず、相手との駆け引きのうまさとペナルティボックス内での冷静さだ。
「1点目で相手(米倉)を抜いたというのもあって、相手が縦を切ってきたんで、それで簡単に中に行けたんです。できれば、相手をかわしてすぐに打ちたかったんですけど、1トラップをちょっと入れることでGKの動きが止まるんで、狙い通り止めてタイミングを外して打てました」
ルーキーで王者相手、普通の選手なら慌てて打ってフカしたり、GKの真正面に蹴ってしまいがちだ。「きれいなシュートでなかった」と、中野は謙遜していたが、ここまで冷静にボックス内で相手の動きを読み、正確なシュートを打つのは簡単なことではない。シューターとしての非凡さを感じさせた。