スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
メッシ離脱で窮地のバルセロナ。
追加登録は不可能、FWは若手頼み!?
posted2015/10/01 10:40
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph by
Getty Images
独立の是非が争点となったカタルーニャ州議会選挙を翌日に控えた9月26日。カンプノウで行われたバルセロナ対ラスパルマス戦にて、しばし人々が選挙のことを忘れてしまうほどショッキングな事件が生じた。
開始3分、マルク・バルトラのロングフィードを受けたリオネル・メッシがペナルティーエリア内右に侵入し、左足でシュートを放った瞬間のこと。シュートブロックに入ったペドロ・ビガスにボールごと左足を弾かれたメッシの顔が、激しく歪んだ。
膝を抱えて倒れ込んだメッシの元に、チームメートとドクターが駆けつける。その後メッシは一度ピッチに戻ったものの、数分間にわたって左足の状態を確認し続けた末、自ら交代を要求。試合終了を待たずに駆けつけた市内の救急病院で検査を行った結果、左膝内側側副靭帯の損傷により7~8週間の離脱となることが判明した。
左足を引きずりながら病院を後にするメッシの姿と共に、このニュースは世界中のメディアを駆け巡ることになった。
補強禁止処分で、追加登録も不可能。
「彼は世界最高の選手であり、もちろん不在は大きく響く。今季は不運なケガが続くね。まだ新規の選手登録が解禁されていないというのに」
ネイマールのPK失敗など、ことごとくチャンスを潰した末にかろうじて2-1で勝利を手にした試合後。そう嘆いていたのは、ミックスゾーンに現れた数少ない選手の一人であるセルヒオ・ブスケッツだ。
彼の言う通り、今季のバルセロナはシーズン序盤から離脱者に泣かされている。
ネイマールはおたふく風邪でプレシーズンから出遅れ、開幕戦ではダニエウ・アウベスが内転筋を痛めて1カ月の離脱。9月上旬の代表ウィーク中にはクラウディオ・ブラボがふくらはぎを痛めて3週間アウト。3節アトレティコ・マドリー戦では前回の本コラムで「最高のスタートを切った」と紹介したトーマス・ベルメーレンも負傷してしまった。
さらに4日後のCLローマ戦では、後方から悪質なタックルを受けたラフィーニャが右膝の前十字靭帯を断裂し、6カ月の長期離脱を強いられることに。通常3カ月以上の離脱者が出た際には、移籍期間でなくとも代役となる選手の追加登録が許される。そのためクラブは今夏に獲得した新戦力の一人であるアルダ・トゥランの追加登録を申請したのだが、それもFIFAから受けている補強禁止処分をたてに却下されている。