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メッシ離脱で窮地のバルセロナ。
追加登録は不可能、FWは若手頼み!? 

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工藤拓

工藤拓Taku Kudo

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posted2015/10/01 10:40

メッシ離脱で窮地のバルセロナ。追加登録は不可能、FWは若手頼み!?<Number Web> photograph by Getty Images

メッシ離脱中にタイトルの可能性が潰えるようなことがないといいが果たして……。

FWは若手2人に頼らざるをえない状況に。

 そんな矢先に、今度はメッシが負傷してしまったのだから大変だ。何せ8月にペドロ・ロドリゲスのチェルシー移籍が決まった際、最も懸念されていたのがこのような事態だったのだから。

 ペドロの放出、そして前線でもプレーできるラフィーニャの離脱により、これでルイス・スアレスとネイマール以外のFWは20歳のムニル・エルハダジとサンドロ・ラミレスしかいなくなった。

 バルセロナBの低迷と共に揃って不調に陥った昨季の中盤以降、この若い2人はいまだ本来の輝きを取り戻せずにいる。もちろん彼らがこのチャンスを生かし、復調にとどまらず急成長してくれれば怪我の功名となるわけだが、メッシの代役というプレッシャーがマイナスに働いてしまうことも考えられるだけにリスクも高い。

代役候補のネイマールは脱税容疑が……。

 なお地元紙が行ったアンケートにて、メッシの代役として攻撃陣の中心となることを求める声が最も多かったのはネイマールだった。

 だが「ハッピーであるか否か」によってパフォーマンスに大きな波が生じる彼は、先日ブラジルの裁判所から脱税の容疑をかけられ、4200万ユーロもの資産を差し押さえられるという大問題が発生したばかりの身だ。

 そのニュースが出た翌日、何を思ったか丸刈りで臨んだラスパルマス戦ではPK失敗を含む大乱調のプレーに終始していた。3日後のCLレバークーゼン戦でも無闇な突破を試みてはボールを失う空回りのプレーを繰り返していた。以前も自身の移籍オペレーションを巡るクラブの脱税疑惑が生じたとたんに不調に陥っただけに、このタイミングで生じた新たな訴訟問題の影響が大きくならないことを願うばかりだ。

 満身創痍の状況下、いかにしてバルセロナはエース不在の2カ月間を生き延びるのか。ラスパルマス戦後の会見でそう問われたルイス・エンリケ監督の答えは、あくまでも前向きだった。

「これはテストであり、チームに与えられたモチベーションだ。この挑戦を受けて立とう。我々がやるべきはパフォーマンスを向上させること。それは自分たちの手で変えられることだ」

 指揮官は「メッシがいなくても同じようにプレーする」と繰り返し主張しているが、実際のところゲームメイクからチャンスメイク、フィニッシュまであらゆるプレーの中心を担ってきたメッシ抜きで、全く同じプレーをすることは不可能だろう。

【次ページ】 カタルーニャの独立問題は微妙な状況に。

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