セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
昨年と様変わりしたミラノ・ダービー。
両雄は上昇気配、本田&長友は逆風。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2015/09/15 10:50
3試合を終えて全勝のインテルが首位、ミランは1勝2敗の12位。プレシーズン好調だった本田圭佑はそのフィーリングを取り戻せるか。
5カ月前のスタメンが4人しかいないインテル。
本田は81分に、FWチェルチとの交代を命じられた。インテルのホームゲームだったこともあるが、ベンチへ下がる本田へ容赦ないブーイングが飛んだ。ミハイロビッチは、本田の肩を優しく叩いて、働きぶりを労った。
一方、リードするインテル監督マンチーニは、ペリシッチを下げ、DFラノッキアを投入。1-0のまま逃げ切りを図った。この夜の試合巧者は、インテルだった。
ロッキ主審がタイムアップの笛を吹くと、長友はベンチから飛び出し、他のリザーブ組とともに出場選手たちと抱き合い、ダービーの勝利を喜んだ。
5カ月前、昨季後半戦のミラノ・ダービーに先発した11人のうち、この日インテルのスタメンに名を連ねたのは、GKハンダノビッチとDFフアン・ヘスス、MFメデル、FWイカルディの4人しかいない。夏の一大補強の結果、インテルのサッカーは一変した。
指揮官マンチーニは67分に、移籍市場最終日に獲得した新鋭DFテレスを左サイドバックとしてデビューさせていた。この日のインテル・ベンチにはDFダンブロージオや、やはり今夏加入したDFモントーヤも控えていたが、優先起用されたのは、指揮官のガラタサライ時代の秘蔵っ子だった。これは、現在の長友が置かれた容易ならざる境遇を示している。
ミハイロビッチ「私は今日は怒ってないぞ」
開幕3連勝で勝ち点9をフルマークしたインテルは、セリエAの単独首位に立った。
まだ粗削りのチームだが、ミランという好敵手を倒したことで、マンチーニのチーム作りは大きく進んだはずだ。かつての盟友ミハイロビッチに勝って、嬉しくないはずがないが、浮かれ気分を戒めた。
「まだ3節が終わったばかりで、チームがトップコンディションになるのはこれから。今の時点ではこれでいいが、リーグ戦は長い。これから先、まだまだやらねばならんことが山ほどある」
盟友に敗れた闘将ミハイロビッチは試合後、開口一番「私は今日は怒ってないぞ」と言い、努めて平静に振る舞った。
「結果こそ残念だが、選手たちはいいプレーをした。これまでの2試合より、縦へ攻める意識も強くなったし、向こうよりチャンスを作った」