Survive PLUS ~頂点への道~BACK NUMBER
「僕、無駄話減ったでしょ?(笑)」
無骨になった吉田麻也の“変化”。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byAFLO
posted2015/06/10 10:50
ヒゲをたくわえ、以前よりも逞しくなった吉田麻也。表情は柔らかいが、かもし出す雰囲気は重厚さを増している。
「チームの守備が評価されるほど、緊張感は増す」
2年前、ブラジルで行なわれたコンフェデレーションズカップや当時のW杯最終予選で、吉田は立て続けに集中力を欠いたイージーミスを繰り返した。それ以降、プレミアでの戦いの中で、とにかくDFとして大切な“無難さ”を身につけようとしてきた。その結果として、以前のように失点に直結するミス自体は少なくなっている。
ただ、吉田の視線はさらにその先に向けられている。自身のプレー判断の拙さが2つ、3つ先のプレーで危険な事態を招くことに、今は意識を向けている。それは、今季プレミアで堅守で鳴らしたサウサンプトンのDFとして芽生えた責任感でもあった。
「サウサンプトンは、とにかく守備組織がしっかりしている。だからあまり完全に相手に崩されて点を取られることが少ない。それは胸を張って言えます。プレミアの中でも、これだけ堅守と言われているわけですから。
それでも、失点はしてしまうもの。その原因は何かと探していけば、やっぱり今話してきた細かい詰めのところになってくるんですよ。マークにはついているんだけど、その前の連係ミスが影響して失点してしまったとか。そのミスをしてしまっているのが自分である可能性もある。
チームの守備が評価されればされるほど、その一員としてプレーすることへの緊張感はありました。でも、そういうチームでDFとしてプレー出来ていることは本当に幸せ。その中でポジション競争ができていることは幸せであり、恐ろしいことだなとも感じた。僕は守る人間だから、失点数はダイレクトな評価になる。やりがいもありますけど、恐さは正直ありますよ。
だからこそ、悔しさがまだまだ残る。やっぱり足りないんですよ、20試合そこそこの出場数では。
「1年目はガムシャラにプレーしていた、それだけ」
試合数で言えば、1年目が最も多く出たシーズンだった。一方で、今季のほうがそのシーズンよりも成長したという手応えはあります。1年目はガムシャラにプレーしていた。でも必死だったから、ある意味それだけだったのかなと。3シーズン過ごしてみて、プレミアの舞台は毎シーズン新鮮に感じる。マンネリなんてまったくない。
成長を感じる一番の理由は、純粋にプレーの中でミスが減ったし、ミスを無くすためのこだわりの質も一段上がったところです。その分、今話してきた詰めの部分に余計に神経を注いでいかないといけない。そこは自分が求めている能力もどんどん上がっていっている証拠でもあると思うし、何よりそういう成長がないとプレミアでは何年も生き残っていけないです」