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ACL、敵地・韓国でまたも3点大勝!
柏とは対照的なG大阪の「らしさ」。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/05/21 11:30
極めて難易度の高いボレーで1点目を、マーカー2人をドリブルで振り切ってからのニアへのシュートで3点目を決めた宇佐美貴史。1人で決められる男の存在が、守備の安定にも貢献している。
パス回しにこだわり過ぎる悪癖、と思いきや。
ボールを回せど、なかなかシュートには至らない。13分には相手の右サイドでソウルの選手がヘディングでボール処理をミス。左サイドのオープンなスペースにいた大森晃太郎にボールが渡った。シュートでもクロスでも可能な状況に見えたが、大森は横パスを無難に味方に渡すプレーを選んだ。逆に34分にはチャ・ドゥリに右サイドを破られ、中央にボールを通された。相手の左足シュートはゴールの脇に逸れ事なきを得るシーンもあった。
「策(パス回し)にはまって敗れる」というパターンが繰り返されるようにも思えた。ある意味、この大会での日韓対決の「あるある」が繰り返されるのかと。
ところが後半、一気に試合が動いた。開始から中盤に投入された倉田秋が攻撃を活性化したのだ。
62分に左サイドバック藤春廣輝のセンタリングから宇佐美貴史が鮮烈なボレーを叩き込んだ。74分には再び藤春が相手ゴール前を横切るセンタリングを上げ、これを右サイドバックの米倉恒貴がペナルティエリア内で合わせて追加点。
サイドをえぐった後には、真ん中に大きくスペースが開いた。86分には中央でボールを受けた宇佐美がセンターバックと右サイドバックの間のスペースにドリブルし、左足を一閃。3-0とした。
さらに印象的だったのが3-0にした後のガンバのゲームの締めくくり方だった。
アウェーで3ゴールのガンバ。何が変わったのか?
相手の猛攻に耐えるでもなく、相手陣地のコーナーめがけてボールを蹴るようなこともなく、ゆっくりと歩くようなペースで動きながらボールを回した。時折ボランチの今野泰幸などにボールが入ると、スッとサイドチェンジをするという時間の使い方。
これが相手選手やスタンドに与えるショックが大きかったのではないか。「こっちは余裕だよ」という点をこれでもかと見せ付けた。実際、敗戦のショックからか試合後に取材エリアでソウルのチャ・ドゥリに声をかけたが彼は立ち止まらなかった。
ただし、ロスタイムの93分に「あれは余計だった」(宇佐美)という1失点を中央からのミドルシュートで喫してしまったが。これは5月27日の次戦(ホーム)への戒めとなったか。
3ゴールを挙げてアウェーのガンバが韓国のビッグクラブを下した。
いったい何が起きたのか。
試合後、チェ・ヨンス監督はこう口にした。
「前半はこちらのバランスもよかったが、後半はサイドからそれを崩されてしまった。ちょっとしたプレスのズレなどから突破を許し、いいボールを入れられてしまった。最終ラインを3枚で固めつつ、攻撃に転じた場合には仕掛けていくゲームプランが崩れた」