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ディープ産駒が未だ勝てない皐月賞。
総合力の高さか、“一発”の武器か?
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2015/04/18 08:00
皐月賞、ダービーでコンビを組むルメール騎手は「サトノクラウンはハーツクライに似ている」とコメントしている。
「無敗の桜花賞馬」6頭、「無敗の皐月賞馬」16頭。
日本の競馬史上、「無敗の桜花賞馬」となった馬は6頭しかいないのに対し、「無敗の皐月賞馬」は16頭も誕生している。
やはり、気難しい牝馬より、牡馬のほうが、過去の戦績だとか、調教での動き、直前の気配などが、そのまま競馬で発揮するパフォーマンスに結びつきやすいのだろう。
サトノクラウンの「過去」は、信用していいのではないか。
キズナ、ラキシスと同じ配合のリアルスティール。
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1番人気はサトノクラウンか、前走のスプリングステークスで「負けて強し」と思わせる2着となったリアルスティール(牡、父ディープインパクト、栗東・矢作芳人厩舎)のどちらかだろう。
リアルスティールは、そのスプリングステークスで、道中、引っ張り切れないほどの手応えでエネルギーを溜め、上がり33秒6というとてつもない末脚で猛然と追い込んだ。
勝つときは鮮やかな代わりに、とりこぼすことも多いタイプなのかもしれないが、爆発力という点では、サトノクラウンを凌駕するものがある。
GIでは、総合力の高い優等生タイプを、ひとつの強烈な武器を持った「一点豪華主義」で行くタイプが負かしてしまうことが実に多い。「総合力比べ」より「武器比べ」になりやすいのだ。「武器」の瞬発力では、この馬がダントツだろう。
父ディープインパクト、母の父ストームキャットというのは、キズナや、それを大阪杯で負かしたラキシスなどと同じ配合だ。ディープ産駒がまだ皐月賞を勝っていないというのは嫌なデータだが、それ以上にプラス面を大きくとらえていいのではないか。
2歳王者ダノンプラチナの距離適性をどう見るか?
2歳王者ダノンプラチナ(牡、父ディープインパクト、美浦・国枝栄厩舎)は、年明け初戦の前走、スプリングステークスで「さすが」と思わせる3着を確保した。しかし、地力で上位に来たのは確かだが、折り合っていたわりに弾けなかったのは、休み明けのぶんだったのか、それとも、やはりマイルがベストで距離が長かったからなのか、今ひとつ判然としない。
世代初の「ガチンコ勝負」で頂点に立ったことには敬意を表さなければならないが、この舞台では、前記2頭を負かすことは難しいような気がする。