セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
世代交代の難航とユーベとの確執。
コンテ&アズーリを襲う「内憂外患」。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2015/04/02 10:30
コンテ監督は、ユベントスでも代表でも中盤の要であるマルキージオの負傷を巡って、SNSで殺害予告まで受けたという。
チームの状態も一向に上がらず……。
そこへ加えて、雨にたたられたブルガリア戦での不出来が、闘将の怒りに火を注いだことは想像に難くない。
開始4分に相手のオウンゴールで先制はしたが、ユベントスのセンターバック3人衆による3バックが立て続けにミスを犯し、前半のうちにあえなく逆転を許すと、ブルガリアに試合の主導権を完全に握られた。
故障で招集を外れた司令塔ピルロの代役として、パリSGで活躍する22歳のMFベラッティを先発させたが、現代表のベースである3-5-2に適応できずしまい。期待される後継者は周囲を活かせないまま、本家のレベルに未だ到達していないことを示す結果になった。
MFカンドレーバ(ラツィオ)を除いた中盤は、4人合わせても代表での出場数が30試合をわずかに超えるばかり。FWザザ(サッスオーロ)とFWインモービレ(ドルトムント)の若手2トップもA代表での経験不足をさらけ出し、遠慮がちなプレーに終始した。
途中出場した初招集FWエデルが84分に決めた鮮やかな同点弾によって、コンテ体制での初黒星は避けられたものの、試合翌日のイタリア各紙はこぞって「個人レベルでの凡ミスが多すぎる。新体制発足後、最低のゲーム」と痛烈に批判した。
ピルロ、デロッシの後継者はいまだ現れず。
アズーリのチーム改造は道半ばだ。
特に難題である中盤の世代交代がなかなか進まない。
来年のEURO開催時には37歳になっているMFピルロはもちろん、衰えの見え始めたMFデロッシ(ローマ)のポジションを奪う新戦力の台頭が待たれて久しい。
ブルガリア戦で代表初先発だった24歳のMFベルトラッチ(ジェノア)は、今後に期待を持たせる働きだった。31日の親善試合イングランド戦では、28歳でアズーリに初招集された遅咲きの“貧者のピルロ”ことMFバルディフィオーリ(エンポリ)にチャンスが与えられるだろう。