サッカーの尻尾BACK NUMBER
マンC戦をグアルディオラはどう見た?
バルサが抱える諸刃の剣・トリデンテ。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byGetty Images
posted2015/03/19 16:30
マンチェスター・シティ相手に決勝点をアシストしたメッシ。エースの復調は朗報だが……。
カウンター型への変更ゆえに……。
自陣から長い距離を走る素早い攻めを繰り返していると、当然選手の消耗も激しくなる。特にメッシとネイマールは後半、守備にはほとんど参加できなかった。前線と中盤が間延びし、アルバがネイマールに「戻ってこい!」と要求するシーンもあった。シティがリズムを掴んだのは、まさにこの時間帯だ。
後半32分のPKをアグエロが決めていれば、シティはさらに畳み掛けてきたことだろう。その際、組織的な守備力が落ちている現バルサはどこまで耐えきれたか。
グアルディオラは、前線からのプレスをチーム全員に求め、高い位置でボールを奪い返し攻め続けることで相手の攻撃を制限していた。しかし現在のバルサは、前の3人のために他が守る、という考え方になっている。
バルサの誇るトリデンテが両刃の剣に。
メッシ、ネイマール、スアレスの“トリデンテ”の存在感が増す一方で、中盤3人の存在感は減っている。かつてこのチームの中心だったシャビは今では控え要員で、この試合も出番はなかった。イニエスタも以前ほどチャンスに絡めていない。ブスケッツやマスチェラーノが相手をいなすように中盤のパス回しに加わることは、もはやほとんどない。
バルサはよくも悪くも、トリデンテ次第のチームに変貌した。
観客に囲まれて観戦したグアルディオラは、そんな古巣の変化をどう見たことだろう。
そしてバルサとバイエルンが対戦することがあれば、彼は変貌した古巣をどう封じ込めようとするのか。バルサとグアルディオラ、過去と現在が絡み合った対戦は、間違いなく興味深いものになる。