リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
現バルサにも劣らない最強3トップ。
レジェンドたちの「伝説のクラシコ」。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byAFLO
posted2015/03/18 10:30
ラウールがカンプノウを埋めるバルセロナファンに向けた「静かに」のパフォーマンスはあまりにも有名だ。
10月13日、水曜の夜にカンプノウが満員に。
'99年10月13日は水曜日だった。
なのに欧州最大のスタジアムがソールドアウト。
クラシコの集客力は今も昔も変わらないが、この一戦にはバルセロナのファンを引き寄せる要素が他にもあった。
まずはバルサが首位でマドリーは8位という状況。
次に、'84-'85シーズン以降マドリーはカンプ・ノウで勝ったことがなく、17回の対戦('86-'87は優勝をかけたプレイオフがあったため2試合)でバルサは16得点マドリーは0得点というデータ。
最後に、欠場者の存在。両チームともケガと出場停止のせいでディフェンスラインを組み直さねばならなかったが、ダメージが大きかったのは精神的支柱イエロとロベルト・カルロスを欠いた上、トシャック監督までベンチ入りを禁じられたマドリーの方――。
要はバルサがマドリーをずたぼろにする“痛快な一夜”を観客は期待していたのだ。
ラウールが先制し、リバウドが同点弾。
試合が始まると、果たしてバルサがパスを繋いで攻め込み、マドリーは受け身に廻った。
バルサの攻撃の軸はグアルディオラ。彼が左右に散らすボールがやがてフィーゴやリバウドに渡り、2人が個人技を活かしてゴールを狙う。2列目のルイス・エンリケとゼンデンも好機を窺い飛び出して行く。
マドリーは自陣に慎重に構えた。が、0-0の引き分けで良しとする気はさらさらなく、前線にはフォワードを4人並べ、バルサのボールを奪ってはカウンターを仕掛けていった。
やがてゴールネットが揺れた。
決めたのはラウールだった。
冷や水を浴びせられたスタンド。
しかし数分後、クライファートのアシストでリバウドが同点ゴールを蹴り込むと、観客は総立ちになって歓声を上げた。
その後、待っていたのはまさに血がたぎる展開だ。