セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
売却騒動に解任問題の迷走ミラン。
本田圭佑が好機に決めていれば……。
posted2015/03/17 12:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
「今夜、私のミランを再び見ることができた」
指揮官インザーギは、今季の初めに好調だった頃の自らのチームを、フィレンツェのスタジアム「アルテミオ・フランキ」に見たらしい。
ミランは15日のセリエA27節で、フィオレンティーナとのアウェーゲームに臨んだ。
試合前から強い雨が降りつけるピッチの上で、アップをするMF本田圭佑と向き合い、指を折りながら10番に望むプレーを教え込む監督インザーギの姿があった。
前節ベローナ戦でのドローは、オーナーであるベルルスコーニの強い怒りを呼び、現場を預かるガッリアーニ副会長が“インザーギ即解任命令”を何とか食い止めている状態だ。上位フィオレンティーナ相手の勝ち点3は難しいとしても、無様な失態だけは避けねばならなかった。
4-3-3の右サイドFWで、4試合ぶりの先発を果たした本田。
本田は、2月15日のエンポリ戦以来、4試合ぶりの先発復帰を果たした。
復帰のポジションはトップ下か2列目かが注目されたが、蓋をあけてみれば、見慣れた4-3-3の右サイドFWに10番は置かれた。3トップを組んだのは、FWメネズとFWデストロだ。
主将モントリーボとアンカー役デヨングを故障で欠く中盤の脆さは如何ともし難いが、右サイドの相棒SBアバーテが、右太ももの肉離れから約1カ月ぶりに復帰したのは朗報といえた。
キックオフ直後から、本田は中盤まで下がり、やはり先発のチャンスを与えられたMFファンヒンケルとの連係を目指す場面が多く見られた。敵陣での空中戦もアグレッシブに競り合った。
3日後にローマとのELベスト16ラウンド2ndレグという重要な試合を控えるフィオレンティーナは、先週戦った同カード初戦のスタメンから大量6人を入れ替えてきた。
直近の試合で多用してきた4バックではなく、3バックへ戦術変更したことが、ミランにチャンスをもたらした。3バックに不慣れな相手守備陣の隙を突いて、ミランDFアントネッリが左サイドの起点となっていた。