セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
売却騒動に解任問題の迷走ミラン。
本田圭佑が好機に決めていれば……。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2015/03/17 12:00
終盤に逆転を喫したチームに、本田圭佑は「それが今のミランの弱点」と語っていた。
開始早々から、ミランが攻め立てる。
12分、MFファンヒンケルとのワンツーを経たアントネッリから、本田はゴール右前に走り込みながらパスを受けた。トラップがやや流れ、角度のない難しい位置だったものの、右足で強いシュートを放った。結果的には相手GKネトの好セーブに阻まれたが、左から中央に流れるような連係による攻撃の形は久しく見られなかったものだった。
15分には、やはり左サイドをFWメネズが攻略してCKを獲得するなど、フィオレンティーナを攻め立てる。少ない手数で敵陣に迫り、効果的にゴールを脅かした。
しかし、開幕当初に得点を量産した自らのチームが甦った、とインザーギが思えたのは、ここまでだったはずだ。
先制点を奪ったものの、徐々にリズムを失ったミラン。
その後も本田は、27分にエリア内に飛び込むMFファンヒンケルとFWデストロ目がけてクロスを放ったが、簡単にカットされた。38分に放った右クロスも精度がまるでなかった。
雨の中、フィオレンティーナは、滑らかに4バックへ移行した。賢明な敵将モンテッラは3バックを捨て、後半開始とともにMFホアキンとMFバデリを入れて、4-3-3へスイッチした。
こうなると、右サイドで本田がMFファンヒンケルからボールをもらっても、相手の厚くなった守備に圧されて後方のDFアバーテに下げるしかない。
ドリブラーであるMFホアキンを入れたことでプレーにアクセントがついたフィオレンティーナは、ミドルシュートの波状攻撃を仕掛けてきた。
56分に、MFボナベントゥラのシュートの当たり損ねをFWデストロが右足に当て、ミランは先制点こそ奪ってはいたが、雨が止まない敵地で攻守は精彩を失っていった。
ホームのフィオレンティーナは、後半の20分を過ぎたあたりから、さらに4-2-3-1へとスイッチし、より攻勢を強めた。たっぷり水を吸った重い芝の上だというのに、小気味よくボールをつないで侵入してくる彼らのパスワークに対応するため、ミランはほぼ全員を自陣にはりつける状態となった。本田のプレー精度も、時間の経過とともに低下していった。