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「パスを出す側として大きな存在」
香川真司を巡る、皮肉と活路とは?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/02/17 10:50
昨季14得点をあげ、CLでもチームを決勝進出に導いたロイスは、現在のドルトムントの正に中心。香川真司とは同じ25歳、これからも競争は続いていく。
トップ下である以上、ゴールは求められる。
すべてが順調に行くわけではないが、ドルトムントが最悪の状態から脱しつつあるのは間違いない。そんな上昇気流の中にいるチームででスタメンとしてプレーしていることについて、香川はこう話した。
「自分が試合に出たとしたら、チームが勝つことが一番大事です。もちろん(個人的な)結果は、今日も残せなかったと言えば残せなかったですけど。ただフィーリングであったり、チームが勝てたことはすごくポジティブ。これを続けていけば、必ず結果が出てくると思っているので、焦りはないです」
ドルトムントの2列目、トップ下のポジションでプレーしている以上、良い成績がともなわなければ批判を浴びる。それは今シーズンの前半戦でもあったことだ。ただ、チームがコンスタントに勝利をつかめるようになっていけば、攻撃的なポジションを任される香川が、ゴールに絡む機会が増えていくのも自然なことだろう。
「彼はパスを出す側として非常に大きな存在」の皮肉。
ただ、一つだけ気になることがある。
フライブルクとの試合に勝ったあとに、ドルトムントのツォルクSDがこんなことを話していた。
「彼はパスを出す側として非常に大きな存在だ。ボールを持てるし、パスをしっかりとつないでくれる。これは彼にとって大きな一歩になる」
こうした側面は、チームのバランスをとり、攻撃を円滑に進めるために欠かせないものだ。ただ、香川がバランスをとる仕事ばかりに追われてしまえば、便利屋で終わってしまうし、同じポジションで独力でゴールを奪える選手が出てきた時に、またベンチへと追いやられることになってしまう。
だからこそ、香川の真価がいま試されているのだ。