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「パスを出す側として大きな存在」
香川真司を巡る、皮肉と活路とは?
posted2015/02/17 10:50
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
そこにいたことが、大きな意味を持っているのかもしれない。
2月13日、ドルトムントはマインツを下して、リーグ戦では昨年9月以来となる連勝を飾った。同時に、一時は最下位に沈んでいた順位も入れ替え戦を回避できる15位にまで浮上した。
そして、2月7日のフライブルク戦で11月30日以来となるリーグ戦のスタメンに復帰した香川真司は、この日もスタメンの一員として連勝に貢献することが出来た。
「苦しい中で勝ちきった。久し振りに勢いが出た試合だったし、やっていても勝てる雰囲気……強い時の雰囲気だったので。本当に、ホームで勝てたことはよかったです」
香川も、そう手ごたえを口にした。
この試合では開始1分に緩慢な守備から岡崎慎司の裏への飛び出しを許し、GKバイデンフェラーの中途半端な対応により、こぼれたボールをソトに拾われて、ゴールを許した。今シーズンの負けパターンをそのままなぞったような立ち上がりだったが、この試合ではそこからしっかりと逆転。さらに追加点を奪い、4-2で勝利をつかんでみせた。
マインツの先制点が早い時間帯だったこと、これまでドルトムントのホームであるシグナル・イドゥナ・パルクに乗り込んできた多くのチームとは異なり、自陣に引きこもるようなサッカーをしなかったこと、などが逆転勝利の呼び水となった側面はあるだろう。
確信がもたらす、プレスの「一歩目」。
ただ、香川の指摘は興味深い。
「勝てる雰囲気」があったことを彼は挙げているからだ。ドルトムントが、目指すサッカーを十分に出来ていない理由の一つには、良い守備から攻撃に移るという流れがはまっていないということがある。そして、良い守備が出来ていない原因として大きいのが、それぞれの選手がボールを奪えるという確信をもって、相手選手にアタック出来ていないことなのだ。
しかし、ウインターブレイクでしっかりとした準備を積んできたことに加え、フライブルク戦を良い流れのなかで勝ちきったことで、プレスをかけにいく選手たちの最初の一歩がすんなりと出るようになった。それゆえに、マインツとの試合ではボール奪取からフィニッシュまでがスムーズに運んだのだろう。