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「パスを出す側として大きな存在」
香川真司を巡る、皮肉と活路とは?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/02/17 10:50
昨季14得点をあげ、CLでもチームを決勝進出に導いたロイスは、現在のドルトムントの正に中心。香川真司とは同じ25歳、これからも競争は続いていく。
ロイスの契約延長は香川にとって追い風か、逆風か。
奇しくも、マインツ戦の前にロイスがドルトムントとの契約を2019年6月30日まで延長した。
これまでの契約では彼の市場価値から考えれば破格な、2500万ユーロを払うクラブさえ現れれば無条件に移籍が可能だという、いわゆる解除条項が含まれていた。そのため今シーズン終了後には、レアル・マドリーやバイエルンなどのクラブへの移籍は避けられないものと見られていた。
ロイスが契約延長に合意した背景には、本人が憧れのクラブであると公言しているバルセロナが現在は選手の獲得を凍結させられていることや、昨年12月にロイスによる免許証偽造とそれにともなう無免許運転が発覚したことで、スキャンダルを嫌う他のクラブがロイスの獲得から手を引いてしまったことなど、いくつか考えられている(たいていのクラブで、自動車メーカーは多額の資金を提供してくれる重要なスポンサーだ)。
いずれにせよ、周囲の予想に反する決断によって、ドルトムントファンはロイスへの愛を一層深めることになった。ドルトムントが今後、これまで以上にロイスを中心に回っていくのは間違いない。
バランサーか、使い勝手の悪い選手か、中心か。
果たして、香川はこれからどのような選手としてキャリアを築いていくのか。
2010-11シーズンから2シーズンにわたり在籍していた時期と比べ、はるかに個の能力に依存するサッカーをするようになったチームで、バランサーとしての地位を確立するのか。
ロイスやムヒタリアンとは異なり、トップ下でしか起用できないという使い勝手の悪い選手として評価されるようになってしまうのか(クロップ監督は香川のサイドでの起用は明確に否定している)。
あるいは、ロイスと並び立ち、自身のゴールを含めて多くのゴールに直接絡むような選手となっていくのか。
ドン底からはい上がりつつあるチームで、トップ下として出場するチャンスをつかんでいる今だからこそ、香川が選択し、披露していく一つひとつのプレーが自身の未来を決めていくことになるのだ。