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イチローが「この2年欲してきたもの」。
マーリンズ移籍、最大の理由とは?
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2015/02/06 16:30
1月29日、都内で行なわれた入団会見にて、イチローは用意されたお茶を何度となく口にし、渇きを潤していた。
イチローに立ちはだかる、3人の若き外野手。
もちろんマーリンズのイチローに対する思いがいかに本物だとしても、彼が置かれた“控え外野手”という立場が覆る訳ではない。
マーリンズの外野手には、すでにメジャー屈指と言われる3人が揃っている。そんなチームの中では、イチローの先発機会は決して多くないはずだ。
2014年シーズンの出場記録を見ても、控え外野手として最多の113試合に出場したリード・ジョンソン選手でさえ、先発出場は25試合、守備についたのはわずか34試合だった。対して、レギュラー外野手の3人はすべて142試合以上に先発出場している。しかも、3人の年齢は昨シーズンの段階でいずれも24歳以下と若い。
いかにイチローといえども、ちょっとやそっとでは切り崩せそうにないレギュラー陣なのだ。
自ら受け入れた厳しい状況で、どんな存在感を示すのか。
しかし、それもイチローにとっては覚悟の上のようだ。
全体の会見終了後に行なわれた囲み会見で、40歳を超えた選手に定位置を与えるようなことはないだろうとした上で、控え外野手としての入団も“想定内”とイチローは語っている。
現時点で野手として現役最高齢選手になったイチローだが、ダン・ジェニングスGMが「彼の肉体は41歳でない。まだまだ計り知れない力を宿している」と太鼓判を押すように、彼を知る人ならば誰1人として、肉体的な問題はないと感じているだろう。もちろん、イチロー自身を含めてだ。
それだけにイチローが自ら受け入れた厳しい状況の中で、どのような存在感を示せるのか、今から楽しみである。